第158章 嫌いなら、傷つけないで

長谷川千怜が提起した問題に対して、クラス委員は彼女に困惑させられ、少し委屈そうに口を開いた。「あなた昨日あんなに機嫌悪かったから、私どうやって思い出せるのよ……」

「自分で口がないくせに、私のせいにするの?」

千怜はクラスで役職のある同級生たちに対して常に敬意を持ち、協力できるときは極力協力し、相手に迷惑をかけないようにしていた。

彼女はクラスの模範となる人物は他の生徒とは違うものだと思っていたが、嫌われている人は相手がどんな立場や地位であっても、がっかりするような行動をとることがあるとは思いもしなかった。

クラス全員の視線がクラス委員に集中し、様々な複雑な感情が顔に表れていた。

クラス委員が何も言えないのを見て、千怜は担任教師を見上げ、冷笑しながら言った。「先生、あなたがえこひいきしていないとまだ言えますか?」

担任は困った表情を浮かべ、一時的に何を言えばいいのか分からなくなった。

彼女はいつも自分のお気に入りを庇い、成績の良い生徒に対しては厚いフィルターがかかっているようで、昨日のような出来事が起きた時、確かに間違った判断方法を取ってしまった。

クラス委員が自分のために二度も言い訳を探し、暴かれた後に言葉に詰まり、心虚な様子をあからさまに見せているのを見て、彼女の本性を知った後は確かにがっかりさせられた。

席にいる他の生徒の中にも千怜をあまり好きではない人もいたが、彼らがこの件に関わっているかどうかは、今のところ誰にも分からなかった。

この膠着状態の中、担任は真剣に考えた末、最終的に決断を下した。「今後は皆さんの英語の宿題は高柳萌に提出してください。これからは彼女がクラスの英語委員です。」

担任はクラス全員の前で、直接クラス委員を交代させた。

萌は千怜の隣の席に座っており、元々は興味深くこの騒動を見ていたが、まさかこのクラス委員の役職が自分の頭上に降ってくるとは思ってもみなかった。

「え?」萌は驚いて目を見開き、先ほど担任が言ったことが信じられなかった。

この時、担任はようやく公正な姿勢を見せた。「皆さんは同級生です。誰であれ、皆さんはこのクラスの一員です。今後このような事態が再び起こることを望みません。」