しかし冷静になってみると、長谷川一樹は朝比奈初のこのような行動も悪くないと思った。
さっきのような状況では、誰かが譲歩しなければ問題は解決しない。
六人のゲストは二隻の船に分かれて海に出たが、番組側は二つの生配信ルームを接続し、視聴者が六人全員の様子を同時に見られるようにした。
【まさか最後に分かれるのがサボりグループだとは思わなかった。でもこの配置はなかなか見どころがありそう】
【初めてこんな名場面を見た。今回の別行動でどんな火花が散るのか楽しみ】
【お坊ちゃまのあの不本意そうな表情、まるで朝比奈に捨てられたみたいだよねwwww】
【いつも何かあると朝比奈が率先して立ち上がるのに、他のゲストは何してるんだろう】
夜の波は大きく、海面には幾重にも波が立ち、漁船は少し揺れていた。
真っ暗な海面では方向が分からなくなるが、周囲には点々と星のような光が見え、それは夜間に漁をする船の明かりだった。
轟音を立てる漁船と吹きすさぶ海風に乗って、一行はすぐにある海域に到着した。
漁師たちは網を海に投げ入れ、夜間の漁には忍耐が必要で、光を使って魚の群れを引き寄せると捕獲しやすいとゲストたちに教えた。
網を引き上げるのを待つ間、皆も手を休めることなく、釣れるものは釣り、すくえるものはすくった。
通常、この時間帯は海の魚が餌を求めて出てくるので、海面で彼らの姿を見つけやすい。篠田佳子たちは漁師の丁寧な指導のもと、一人が懐中電灯を持ち、もう一人が網ですくう役を担当した。
長谷川一樹はこのグループで唯一の男性だったため、魚を捕まえる任務は自然と彼の役目となり、佳子は横で照明を担当し、魚を引き寄せる役割を果たした。
二人は初めての協力だったが、連携は悪くなかった。一樹は素早く手を動かし、網を上げ下げして魚を捕獲することに成功した。
佳子は彼が魚を上手くすくい上げるのを見て、思わず褒めた。「長谷川くん、すごいじゃない!」
一樹は魚をバケツに入れながら、佳子の褒め言葉に顔を赤らめ、一瞬どう返事をすればいいか分からなくなった。
【笑った、猛男が突然照れるなんてwwww】
【これって長谷川が番組に出てから初めて褒められたんじゃない?優しい佳子ちゃんに顔を赤らめるのも無理ないよね】
【助けて!!佳子ちゃんと長谷川くんも姉弟感あるじゃん】