第290章 自己を欺く道化師

中島陽太は彼女の服が湿っていることに気づき、ベッドに触れてみた。「どうして窓を閉めなかったの?」

山田雪は泣き出し、彼の腰に抱きついた。「怖かった、泥棒かと思った。」

陽太はベッドサイドのランプをつけ、彼女の涙を拭った。「怖がるだろうと思ったんだ。雨が降り始めたのを見て急いで来たよ。もう泣かないで、僕がついてるから。」

雪の頬には涙の雫が光っていた。彼が雨の中を家から駆けつけてくれたなんて、予想外だった。

彼は本当に彼女のことを大切に思っているのだ。

陽太は彼女の涙を拭き取り、新しいパジャマを探してきた。「バカだな、どうして窓を閉めなかったの?」

雪は哀れっぽく言った。「ベッドから降りるのが怖かったの。」

陽太は彼女の長い髪を整え、彼女のパジャマを脱がせようとした。「今夜僕が来なかったら、一晩中ベッドの上で震えていたの?リウマチになりたいの?」

雪は彼の手を押さえた。「自分で着替えるわ。」

「手伝ってあげるよ。君の体で見たことないところなんてないだろう。」

雪は恥ずかしさと怒りで彼をつねった。「自分で着替えるって言ってるでしょ!」

二人の関係はとても親密になっていたが、彼女は彼の前でまだ恥ずかしがっていた。

陽太は彼女の顔が赤くなるのを見て、思わず彼女の耳たぶを噛み、耳元でささやいた。「着替えなくていいよ、何も着ていない方が綺麗だ。」

彼のちょっとした仕草に雪の体に電流が走った。彼女は少し後ろに下がり、「いつも私をからかって。」

陽太は不思議と気分が良くなり、立ち上がって窓を閉めに行った。「もう冗談はやめるよ。早く着替えて、風邪ひかないでね。」

雪はその間に素早く別のパジャマに着替えた。陽太が戻ってきて彼女を抱き上げた。「今夜はこのベッドで寝られないね。明日おばさんに洗って干してもらおう。」

彼は彼女を隣の客室に運び、自分もパジャマに着替えた。外では雨がまた降り始め、雷鳴が轟いた。陽太がベッドに入るとすぐに雪は彼の胸に飛び込んだ。「怖いよ。」

陽太は彼女が抱きついてくるのを楽しんでいた。彼は彼女の細い腰を抱き、手が落ち着きなくなってきた。「ねえ、気を紛らわせることをしようか。」