第324章 松本智を懲らしめる

渡辺修一は美人かどうかという概念をあまり持っていなかった。彼は小さな顎に手を当てながら、「彼女が美人かどうかはわからないけど、性格は悪くないよ」と言った。

「なんだか奥深そうね。例を挙げてみて」

修一は少し考えてから言った。「彼女は僕に『あなたのママになってあげる』と言った最初の人だよ」

「あら？私とお父さんが初めて学校に送った時のこと？」

「うん、彼女は純希がとても綺麗だって褒めてたよ」

田中純希はすぐにその少女が気に入った。「いつか家に遊びに招待したら？おいしいものを作ってあげるわ」

「彼女はちょっとおしゃべりだから、様子を見てからにする」

純希は笑いながら言った。「わかったわ、あなたの判断に任せるわ」

愛希ちゃんは少し遊んだだけですぐに疲れてしまった。純希は娘を寝かしつけながら、修一に自分で勉強するよう言い聞かせた。

彼女は姑に修一を学校に通わせることについて相談した。小林筠彦はあまり賛成しなかったが、純希は「修一自身も学校に行きたがっているんです。学校には同年代の友達がいますし、子供は同年代の子と一緒にいた方がいいと思います」と説得した。

筠彦は夫に相談すると、渡辺永司は反対しなかった。「純希が修一を自分の子のように思ってくれているのに、子供の教育に口出しさせないなんて、それはおかしいだろう」

筠彦は年を取るにつれて以前ほど強気ではなくなり、夫の意見を受け入れられるようになっていた。彼女はもう自分の意見に固執せず、純希に「あなたがお母さんなんだから、あなたの判断に任せるわ」と言った。

純希は渡辺健太に相談すると、健太はいつも彼女の意見に従った。「君がいいと思うならそれでいいよ」

純希は言った。「じゃあ学校に連絡するわ。新学期には二人で子供を学校に送りましょう」

健太は彼女の鼻先を軽くつついて、「もちろん、妻の言うとおりにするよ」と答えた。

純希が修一の学校復帰の手配をしている一方で、山田民夫は彼女に撮影現場の準備が整ったと伝えてきた。彼女が一言言えば、松本智を徹底的に追い詰めることができるという。

純希はわくわくしながら、ついにこの日が来たと思った。

彼女は民夫に記者に連絡して、松本智が撮影現場で横柄な態度をとり、新人の榎本芝穂をいじめていると暴露するよう指示した。