第381章 妻にしか興味がない

藤田宗也は佐藤妙の顔を摘んだ。「バカだな、次はこんな馬鹿なことをするなよ」

妙は顔を押さえながら言った。「私こそあなたに言いたいわ。次はどんな状況でも、他の女性とホテルに現れるなんてことはしないで。一度だってダメよ！」

宗也の声が高くなった。「夫を教育するようになったのか？」

妙は小声で言った。「私はあなたにすごく優しいわよ。純希が渡辺社長にするのはもっとすごいんだから」

宗也はようやく理解した。「きっと田中純希がお前を悪い方向に導いたんだな。これからは彼女の話をあまり聞かないように」

渡辺健太は妻に尽くす男だ。彼はそんな風になりたくなかった。

宗也は素晴らしい未来を思い描いていたが、彼自身がすでに妻に尽くす男へと変わりつつあることに気づいていなかった。

妙は彼を見ずに言った。「純希は私を悪い方向になんて導いてないわ。社長は彼女にとても優しいのよ」

「俺がお前に優しくないとでも？」

「あなたはどう思う？」

宗也は妻が本当に機嫌を損ねていることを悟り、彼女をきつく抱きしめながら忍耐強くなだめた。「もう怒らないで、これからは誰と仕事をするにしても全部報告するよ」

妙は満足した。「言ったことは守ってね」

「もちろんさ」宗也は言った。「これからはあの厳という男には近づかないでくれ。あいつを見るとイラつくんだ」

妙は彼が考えすぎだと言った。「昔は彼が先に心変わりしたのよ。私が戻るわけないじゃない。あなたもそう、もし心変わりしたのを見つけたら、私は絶対に去るわ」

宗也は腕に力を入れ、彼女が去ることを本当に恐れていた。「ダメだ、この人生でも次の人生でも、お前は俺から離れられない」

これは妙にとって甘い言葉に聞こえた。彼女は夫の腕の中で身を寄せながら、自分は満足しすぎなのかもしれないと思った。

宗也は彼女の髪を拭いてやり、管理人に電話して新しい服を二着持ってくるよう頼んだ。

妙は布団の中に縮こまった。ああ、管理人にここに服を持ってきてもらうなんて、みんなに何が起きたか知られてしまう！

宗也は堂々としていた。「俺たちは夫婦だ。人の噂なんか気にすることはない」

妙は彼ほど厚顔ではなかった。「私は気にするわ！」