「西園寺真司……やめて!」
須藤夏子は西園寺真司の突然の行動に驚いて後ずさりしようとしたが、どれだけ逃げようとしても、真司はすぐに彼女を引き寄せてしまう。
「真司!これ以上やったら私は——」
「どうするつもりだ?忘れるな、お前は俺の妻だ!」
夏子の強気な言葉は真司の冷たい声で遮られた。真司は決意したかのように、夏子がどれだけもがいても彼女をしっかりと拘束し、彼女の首筋に激しく噛みついた。口の中に血の味が広がるまで力を入れ、ようやく腕の力を少し緩めたが、それでも夏子の首筋に顔を埋めたまま、荒い息を吐いていた。
夏子は完全に彼に押さえつけられ、彼の体から発せられる灼熱の温度と乱れた呼吸を明らかに感じていた。一瞬、彼女は本当に怖くなり、全身が震えた。真司が自制心を失うのではないかと恐れたのだ。
「あなた……少し離れてくれない?」真司が少し落ち着いてきたのを見て、夏子は彼がこれ以上何かをするつもりがないと確信し、勇気を出して彼を押しのけようとした。早く逃げ出したかったのだ。
真司は手早く夏子を抱き上げ、位置を逆転させて彼女を自分の上に乗せた。夏子はこのような親密さに慣れておらず、しかも彼女の服の襟は引き裂かれていた。この姿勢では、胸元の雪のような白さが真司の目に晒されてしまう。今の真司はそんなことに気づいていないようだったが、夏子自身は気づいており、顔が真っ赤に染まった!
「まず離して、ちゃんと話し合おう!」
真司は腕に力を入れ、逃げようとする夏子を逃がさないようにした。しかし、彼の視線は彼女の首に固定されていた。先ほどの小さなキスマークは、今や彼の噛み跡で覆われ、鮮やかな赤色が元の紫赤色を完全に隠していた。もはや元の痕跡は見えなくなっていた。
「夏子、正直に答えろ。まだ石川城太を愛しているのか?」彼の眼差しは言葉以上に真剣で、夏子と目が合った瞬間、避けられない光を放っていた。
夏子は明らかにこのような質問を予想していなかったが、考えてみれば理解できた。今や彼女は彼の妻なのだから、たとえ彼が彼女を愛していなくても、自分の妻が心の中で他の男を愛していることは許せないだろう。
「もう彼のことは愛していないわ。でも……」夏子は真司の目を見つめながら嘘をつくことができなかった。「まだ彼のことを忘れられないの。」