第213章 私はあなたを離さない!

陸橋夫人の言葉は、西園寺真司に明らかに効果があった。

彼を説得できるとは限らないが、陸橋夫人は彼の心を突く一言で彼に警告した。

もしいつか彼が隠し通せなくなったら、夏子は崩壊し、彼を憎むだろう!

十数年間守ってきた彼の大切な人が、どうして彼を憎むことができるだろうか!

彼は彼女に彼を憎む機会を与えることはできない!

西園寺は黙って電話を切り、ベッドの側に歩み寄り、熟睡している須藤夏子を見つめた。彼の脳裏に突然、彼女が4歳の時にICUで意識不明だった姿が浮かび、彼の心は突然痛みに襲われた。

「須藤夏子、私はお前を離さない、永遠にな!」

——

熟睡していた夏子は、自分の人生の軌道が真司の決断によって変わりつつあることを知らず、非常に安らかに翌朝の8時まで眠り続けた。

目を開けると、彼女はいつものように隣を手で探ったが、真司がすでに起きていることに気づいた。

彼女と真司が実質的な関係を持つようになってから、真司は宮平一郎と木村弘恪が10時前にスイートルームに入ることを禁じていた。そしてそれ以来、真司は早起きすることもなくなった。たとえ彼が早く目覚めても、彼女にまとわりついて、起きざるを得なくなるまでずっと甘えていた。まるで「これより君主は早朝の政務を行わず」という構えだった。

だから今日のような状況は最近では初めてのことだった。

夏子が着替えて身支度を整えても、真司はまだ現れなかった。朝食が運ばれてくる頃になってようやく、宮平から電話がかかってきた。

「若奥様、旦那様は今日公務で忙しいので、昼にまたお食事をご一緒します。」

夏子は気にせず言った。「彼は彼の仕事をすればいいわ。私のことは気にしないで。」

一郎は昼食の件についてこれ以上主張せず、電話を切った。

今日は環宇が学校で最終選抜を行う日で、選抜に参加する審査員の教師以外は全員休みだった。初めて休暇を取らなくても仕事をしなくていい日だったが、夏子はむしろ暇を持て余していた。豪華なスイートルームを見回した後、夏子は森本千羽に電話をかけることにした。

「千羽、何してるの?曲を書いてる?」

千羽は元気よく答えた。「何が曲よ、イケメン見に行くのよ!」

夏子は不思議そうに尋ねた。「どこに見に行くの?」