二人が家に帰ったときには、すでに夕方になっていた。
ちょうど陸橋軽穂が自ら台所に立って作った夕食の時間に間に合った。
夕食を終えた後、陸橋夫人が言った。「夏子、あなたと真司の結婚式の日取りを決めたらどうかしら?私が今回来たのは、一つは深井家の結婚式に出席するためだけど、もっと重要なのはあなたと真司の結婚式の日取りを決めることなのよ」
須藤夏子は今や昔こだわっていたようなことにはこだわらなくなっていた。親族の祝福がなくたって構わない、自分の生き方は自分で決める。だから確かに結婚式はそろそろ挙げるべきだった。
「それなら義母さんが日にちを選んでください。長老のおっしゃる通りにします」
めったに口を開かない陸橋陽仁が言った。「結婚式は二人の人生で最も重要な日だ。自分たちで決めるべきだ。何か要望があれば、私たちに言ってくれればいい」
夏子はその言葉を聞いて西園寺真司の方を見た。彼の意見をもっと知りたいようだった。
真司はしばらく考えてから言った。「今年の良い日はもうほとんど過ぎてしまった。一番いいのは旧正月だけど、旧正月は忙しすぎるし、それに貞代が巡回展示会を開いていて、今年はめったに戻ってこられないから。来年の5月、夏子の誕生日にしてはどうだろう」
軽穂はお茶を持ちながら彼の本音を暴いた。「お兄さん、前半は全部言い訳でしょ。お兄さんは単に義姉さんの誕生日に合わせたいだけじゃない」
真司は暴かれても恥じることなく、落ち着いた様子で軽穂を見て尋ねた。「それがどうした、何か意見があるのか?」
軽穂は鼻をしわめて、慌てて言った。「意見なんてないよ、ないよ。僕なんかが意見なんて言えるわけないじゃん…」
夏子は意見を述べず、ある問題について考えていた。
彼女の誕生日は本当に5月なのだろうか?
彼女と深井杏奈はアイデンティティが入れ替わっていた。もしかしたら生年月日なども入れ替わっているのではないだろうか?
彼女の以前の誕生日は確かに5月だったが、杏奈の誕生日は3月だった。二人はたった2ヶ月しか違わなかった。
夏子はすぐには口に出さず、こう言った。「もう少し考えてみましょうか」
そう言って、彼女は真司に目配せした。