第54章 秘方

青木佳織は箱を開けて見ると、中には静かに一枚の秘伝書が収められていた。そこには詳細にコンドロイチンZS錠の主な成分と配合、そして製造方法が記録されていた。

彼女は一目見ただけでこれが本物だと分かった。結局、家族はあの薬を何度も研究していたのだから。

家でも模倣を試みたことがあったが、効能はいつも劣っていた。なるほど、いくつかの重要な成分が欠けていたのだ。

佳織は一気に武田奥さんの胸に飛び込み、甘えるように言った。「藤原叔母さん、本当にありがとうございます。どうお礼を言えばいいか分からないくらいです!」

武田奥さんは笑いながら答えた。「あなたがこの子をしっかり守ってくれれば、それが私や武田家への最大のお礼よ」

佳織は力強くうなずいた。「ご安心ください。私がいる限り、子供は必ず無事です。むしろ子供は私自身の命よりも大切ですから!」

武田奥さんはとても満足そうだった。彼女がここまでしたのは、すべてこの子のためだった。佳織は賢い人間だ、これで話が早くなる。

「でも、藤原叔母さん、美智さんは秘伝を売らないと言っていませんでしたか?これはどこで手に入れたんですか?」

武田奥さんの顔に嘲笑が浮かんだ。「彼女が売らないなら、借金まみれの父親がいるじゃない?コンドロイチンZS錠はもともと橋本海東の会社が製造していたものよ。彼ももちろん秘伝を知っているわ。彼から買っても同じことよ」

しかし佳織は躊躇いながら言った。「でも、特許権は美智さんの手にあるんじゃないですか?お父さんから買うと、何か問題が起きませんか?」

武田奥さんは自信たっぷりに笑った。「そこがあなたの分からないところよ。海東は美智の代わりにサインしたの。美智が騒ぎ出せば、私は海東を詐欺罪で刑務所送りにできるわ。金額は1000万にも上る。少なくとも3年か5年は刑務所行きね。美智が自分の実の父親が刑務所に入るのを黙って見ているとは思えないわ!この理不尽な仕打ち、美智は受け入れるしかないのよ!」

佳織は崇拝の眼差しで彼女を見つめた。「藤原叔母さん、本当にすごいです!尊敬します。私があなたの半分でも知識や戦略を持てたら、この人生は価値あるものになります!」