翌日。
美智は快適なカジュアルウェアを着て、今井修平と一緒に空港へ向かい、帰国の準備をしていた。
彼女は今日、修平に対して特に積極的な態度を示し、進んで彼の荷物を持とうとさえした。
なぜなら、昨日修平が彼女にくれたカードには、500万円が入っていたからだ。
なんて気前のいい素晴らしい社長なんだろう!
突然裕福になった彼女は興奮して一晩中よく眠れず、これからもっと頑張って、修平のために多くの仕事をしようと考えていた。
修平は抜け目のない洞察力を持っており、美智がなぜこんなに積極的になったのか一目で見抜いていた。
しかし、彼はただ微笑むだけで、彼女に自分の荷物を持たせず、荷物を秘書に渡し、自分で彼女のスーツケースを取って、代わりに押してあげた。
美智は少し落ち着かない様子で言った。「社長、私自分でやりますよ、あなたは…」
修平は彼女の言葉を遮った。「どうして急に社長って呼ぶようになったの?」
「そのほうが敬意を表せると思って。」
「そこまで敬意を表す必要はないよ。僕はそういうことは気にしないから、直接名前で呼んでくれていいよ。」
社長がこんなに親しみやすいとはいえ、美智はもちろん本気にはできなかった。彼女はまだ「修平様」と呼び、「私自分でやりますよ、どうしてあなたに私のスーツケースを持たせるなんて。」
しかし修平は彼女の言うことを聞かず、彼女のカートゥーンステッカーが貼られたスーツケースを押しながら前に進み、預け入れ手続きをしようとした。
彼は女性の目を引く顔立ちをしており、空港では多くの女の子たちが彼を密かに見ていたが、彼の手にあるスーツケースを見ると、皆の目が暗くなった——もう相手がいるのか!
同じように修平の手にあるそのスーツケースを見ていたのは、武田直樹もだった。
美智のこのスーツケースは、以前は家に置いてあったが、彼が離婚を切り出した後、彼女はこのスーツケースを持って、自分の荷物を全部持ち出していった。
今、彼はなぜかこのスーツケースが特に目障りに感じていた。
おまけに修平はスーツケースを押しながら彼に挨拶しに来た。「武田社長、どうやら私たちは同じ便のようですね。そんなに急いで帰国されるのは、青木さんの世話をするためですか?」