第275章 子供は守れるのか?

橋本海東はまた悩み始めた。美智に子供を産ませるべきか、それとも堕ろさせるべきか。

彼はまだ橋本櫻子に武田直樹の子供を妊娠させたいと思っているのだ!

まあ、とりあえず病院に戻ろう。美智が目を覚ましたかどうかもわからないし、あの頑固な性格では、どうしても離婚したいと言い張って、この子供を残したくないと言うかもしれない!

しかし彼が病院に着いたとき、誰もいなかった。

美智も橋本宇太も姿を消し、橋本櫻子だけが残っていた。

「美智はどこだ?」

櫻子は実は電話をかけ終わった後、ずっと遠くから病室の様子をこっそり見ていた。

彼女は美智の前に姿を現す勇気がなかった。青木佳織に密告したことが美智に知られたら、叱られるのが怖かったのだ。

しかし、美智が去った後、彼女はずっとここで海東を待っていた。海東から「病院を離れずに待っていろ、友人に会いに行く」というメッセージを受け取っていたからだ。

「大伯父さん、堂姉はもう退院しました。堂弟が彼女を背負って出て行きました」

「退院した?彼女は大丈夫なのか?こんなに早く良くなったのか?医者はかなり深刻だと言っていたのに?」

この点について、櫻子もよくわからなかった。彼女は近づく勇気がなかったので、美智の状態がどうなっているのか知らなかった。

「たぶん大丈夫なんだと思います。そうでなければ、点滴針を抜いたりしないでしょう。流産防止の薬もまだ全部使い切っていませんでした!」

「わかった、行こう、家に帰ろう」

海東は美智の状態を心配していなかった。どうせ彼女は少し医術を心得ているし、彼女の祖母はさらに名医だ。彼女の妊娠を守るには十分すぎるほどだ。実際、彼女の祖母の腕前は病院のどんな流産防止薬よりも効果があるだろう。

——

青木氏病院。

武田奥さんが慌てて駆けつけた。

救急室のライトがついており、廊下には武田直樹と石田香里が立っていた。

彼女は動揺して尋ねた。「どうなの?一体どういう状況なの?赤ちゃん、赤ちゃんは助かるの?」

香里はすでに目を腫らして泣いていた。武田奥さんを見ると、また泣き始めた。「佳織が、彼女がたくさん出血して!」

武田奥さんも焦って涙を流した。「一体どうなってるの?何事もなかったのに、どうして突然出血するの?」

「あの忌々しい橋本美智のせいです!彼女が佳織を傷つけたんです!」