第71章 プレゼント

薬を塗った効果は確かに良かったと言わざるを得ない。少なくとも永川安瑠は顔の痛みが和らぎ、耳鳴りもかなり消えたと感じていた。

彼女はようやく頷き、武内衍が差し出した軟膏を受け取った。「一日三回、定期的に顔に塗れば傷跡は残らないよ」

彼の声は相変わらず清冽で淡々としており、人に疎遠な印象を与えた。その音質はチェロのように美しく、人を酔わせるようだった。

「ありがとう」安瑠は小さく礼を言い、白い頬に二つの赤い染みが浮かんだ。柔らかな灯りの下で特に魅力的に見えた。

言葉が終わるか終わらないかのうちに、休憩室のドアが突然開いた。安瑠が振り向くと、森秋陽が外から入ってきて、彼女と衍を見て少し驚いた様子だった。

「安瑠も来てたんだね。数日ぶりだけど、また綺麗になったね」秋陽のあの少し不遜な桃花眼が少し上がり、安瑠を見た時に初めて気づいた。今回は彼女を招待していなかったことに。

それは衍が安瑠に会いたくないと思っていると考え、二人が気まずくならないように招待状を送らなかったからだ。

でも今は...二人の間に気まずさなんてあるだろうか?むしろとても調和しているように見える。

「あなたもよ、もっとかっこよくなったわね」安瑠は口角を少し引き上げ、秋陽の挨拶の仕方にはもう慣れていることを示した。今日は彼が主役だから、口論はやめておこうと思った。

安瑠は少し考えてから、バッグから用意していたプレゼントを取り出して立ち上がり、秋陽に渡した。「はい、お誕生日おめでとう、主役さん」

秋陽はすぐに笑顔になった。招待していないのに安瑠がプレゼントを持ってきてくれたことに少し罪悪感を覚えながら、彼女の手にあるプレゼントを受け取ろうと手を伸ばした。

彼の手が安瑠の手に触れた瞬間、鋭い視線が自分に向けられているのを感じ、思わず手が震え、プレゼントを受け取るとすぐに手を引っ込めた。

秋陽は内心で冷や汗をぬぐい、手の中の小さな紫色の包装の箱が熱く焼けた鉄のように感じられ、持っていても置いても落ち着かなかった。

「そういえば、安瑠、さっき上がってくる時に千恵が君を探してたよ。急いでいるみたいだった」秋陽は突然思い出したように安瑠に言った。