葉山逸風は彼女たち二人の行動を見て思わず苦笑した。食事の作法は葉山千恵や永川安瑠のように何の遠慮もないわけではなく、上品で礼儀正しいものだったが、それでいて人を居心地悪くさせるようなことはなかった。
「二人は長い付き合いなの?」逸風は尋ねた。
「そうよ、中学の時から私たちは同じ席だったの。大学まで一緒で、そこでやっと離れ離れになったわ」千恵は彼の質問に先回りして答え、最後の一文を言う時には少し物悲しげだった。
中学から高校卒業まで同じ席というのは、どれほどの縁があるのだろう。しかも二人は珍しいことに気が合い、それからというもの切っても切れない親友となったのだ。
「彼らは私たちの縁を妬んでるのよ、羨んでも手に入らないものだから」安瑠は千恵に向かって「チュッ」という口の形を作り、まばたきを数回して、相手の目に浮かんだ悪戯心を見て、理解したように笑った。
「安瑠、覚えてる?あのエイプリルフールの時、クラスの人気者が女の子に書いた手紙を生活指導の先生に内緒で渡して、それで先生が生徒が恋愛してるって思って屋上に取り締まりに行ったら、その人気者に後ろから抱きしめられて告白されちゃったこと?」千恵は昔のことを思い出すと話が止まらなくなった。
安瑠はすぐに頷いた。あの時の記憶はあまりにも鮮明で忘れられなかった。「覚えてるわ、あの時クラスの人気者は丸一日説教されたんじゃなかった?学校中が彼が生活指導のおばさん先生を好きだって噂してたわよね、ハハハ〜」
ただ、誰も真犯人が彼女たち二人だとは思わなかった。
「今でも覚えてるわ、生活指導の先生が抱きしめられた時の顔色、墨汁みたいだったわね、ツツツ……」千恵は舌打ちをし、艶やかで美しい顔は花が咲いたように輝いていた。
彼女は逸風とよく似ており、容姿が悪いわけがなかったが、細かいことを気にしない性格のせいで、その美しさが見過ごされがちだった。
逸風は傍らで静かに彼女たちの昔話を聞いていて、面白いところでは思わず軽く笑い声を漏らした。
女の子の友情は、時々本当に羨ましいものだ。
「食べ物でも口を塞げないわね!」千恵が自分の過去の恥ずかしい話をしようとするのを聞いて、安瑠はすぐに肉を一切れ挟んで千恵の口に押し込み、彼女を睨みつけた。