第153章 バレてしまった

行かなくていいの??

彼はただ適当に手紙を模倣しただけで、あの恐ろしい場所での訓練を免れるというのか?

天は彼に優しすぎる!

「どうした、不満か?」

武内衍の冷たい声に橋本南は全身が震え、急いで頭を振って否定した。衍が彼の動作を見ていないことを忘れていた。「いえいえ、全然不満なんかありません!むしろ嬉しいです!」

ボスがついに人間らしい対応をしてくれたじゃないか!

電話を切ると、衍は永川安瑠が部屋から走り出てくるのを見た。雪のように白い素足だったが、床には分厚いカーペットが敷かれていたので、その上に立っても冷えることはなかった。

それでも衍はかすかに眉をひそめ、冷静な視線で彼女の素足を見つめながら、やや責めるような口調で言った。「部屋の中でも素足は駄目だ。何か言いたいことがあるなら、靴を履いてから言いなさい」

その一言で安瑠のワクワクした気持ちは一気に底に落ちた。不満そうに口をとがらせ、冷たい表情の衍をちらりと見てから、部屋に戻ってスリッパを履き、再び走ってきた。

その美しく繊細な小さな顔には喜びが溢れ、清らかな小川のような瞳からも彼女の喜びが伝わってきた。「衍、パソコン貸してもらえない?絵を描きたいの」

安瑠は両手を合わせ、衍に頼むように言った。やっと絵を描く感覚を取り戻したので、パソコンでの感覚も試してみたかった。

手描きとパソコン描画には違いがある。手描きはパソコン描画よりも乱雑で不規則だが、パソコン描画はより整然として鮮明だ。

翡翠のデザイナーたちは現在パソコン描画を使用している。前回発売されたジュエリーデザインの手描き図は、時間が迫っていたため後処理が必要だった。

安瑠も手描きが好きだが、手が汚れやすく、パソコンほど便利ではない。そのため、彼女はより多くの場合、この高度なテクノロジーを使って自分のデザイン図を完成させることを選んでいた。

衍は花のように明るく目を引く彼女の笑顔をしばらく見つめ、軽く「うん」と答えた後、書斎に入っていった。出てきたときには、ピンク色の薄くて軽いノートパソコンを手に持っていた。

ピンク色?

衍はピンク色が好きなの?

安瑠はこのパソコンを受け取りながら、心の中で疑問が湧いた。どう見ても女性用だ。まさか…

衍にはこんな趣味があるの??