第185章 葉山逸風が酔っ払う

「あなたたちの作品はすでに当社グループの店舗に並んでいます。今日から売上を集計して、展示会に出展するデザイナーを決定します。時間があれば市場調査に行き、レポートを私に提出してください」夏目妃はデザイナー事務所でこう指示した後、永川安瑠の方を見た。

「あなた、ちょっと来なさい」夏目は頷きながら安瑠を指さし、そして背を向けて立ち去った。

森莫は心配そうな目で安瑠を見つめた。彼女は夏目の手口を知っていたので、夏目が安瑠に何か仕掛けるのではないかと心配していた。

安瑠は安心させるように彼女に微笑んで、部屋を出た。

夏目は廊下に立ち、腕を組み、15センチのハイヒールを履いていた。その姿を見て安瑠は少し身震いした。

「私と賭けをする勇気はある？」夏目は振り向き、冷たい目で安瑠を見つめた。

「ありません」安瑠はきっぱりと断り、肩をすくめた。

夏目の口角がピクリと動いた。安瑠を見る目は嫌悪と軽蔑に満ちていた。「勇気がないの？それとも私に負けるのが怖いの？」

「もう私があなたに負けたということにしておいてくれませんか？本当に分からないんですが、なぜいつも私にこだわるんですか？」

この半月、夏目は表立っても陰でも彼女の足を引っ張ろうとしていた。ただ、いつも璇が前面に出てきていたので、直接夏目に問いただすことはできなかった。

でも彼女はなぜこんなに暇なのだろう……

「一ヶ月の売上で賭けましょう。あなたが勝てば、私は二度とあなたを標的にしない。負ければ、自ら武内社長のもとを去ること。どう？」

一ヶ月の売上？

安瑠は自分のデザインした作品に自信があったので、彼女に負けることは恐れていなかった。

「夏目部長は皆を馬鹿だと思っているんですか？武内衍とあなたの嫌がらせを比べたら、なぜ私が同意すると思うんですか？」安瑠は軽く唇を曲げて言った。

「同意しなくてもいいわ。でも、これからの世紀での日々は楽ではなくなるわよ。武内社長に知られないように、あなたを世紀から追い出す権限は私にはあるの」

ただの女一人、武内が飽きれば彼女が手を下さなくても去っていくだろう。夏目が安瑠を世紀から追い出しても、武内は夏目氏の面子を考えて、追及しないだろう。

「賭けに乗りましょう。ただし、私も条件を追加します」安瑠は彼女の脅しを気にせず、面倒だと思ったから同意した。