橋本南は白い目を向けると、すぐに彼らから離れて座った。彼も美人好きではあったが、こういった女性たちには敬遠したいと思っていた。
森秋陽が遊んできた女性は数え切れないほどで、時々橋本南は狂気じみていると感じ、いつかどんな女性がこの妖艶な男を手なずけるのか見てみたいと思っていた。
茨城で武内衍を知らない人はほとんどいなかった。これらの女性たちは衍を見た瞬間に目を輝かせ、彼に飛びつきたいという欲望を隠せないようだった。
「武内さん~」スタイル抜群の女性が衍の隣に座り、彼が先ほど飲んでいたグラスを取って一口飲み、衍に飲ませようとした。
彼女の表情は非常に妖艶で、仕草も魅惑的だった。秋陽は横で見ていて心がむずむずするのを感じた。
衍の細長い黒い瞳が急に鋭くなった。彼は突然立ち上がり、その大きな動きで女性の手にあったグラスが床に落ちた。冷たい目でその女性を睨みつけ、「出て行け」と言った。
その女性は少し縮こまり、怒りに満ちた衍の目を直視する勇気がなかった。しかし、茨城の皇太子様に取り入れることができれば、今後は豊かな生活が送れると考え、大胆にも衍の腕に手を這わせ、色っぽく言った。「衍さん、そんなことしないで……あっ!」
その女性が言葉を終える前に、衍は容赦なく彼女を押しのけ、彼女が触れたスーツの上着を嫌悪感たっぷりに脱ぎ捨てた。
「全員出て行け!」
怒り狂った衍は地獄の修羅のようで、人々の心の底から恐怖を感じさせた。
これらの女性たちは一人も躊躇せず、すぐに個室から逃げ出した。
秋陽は衍の反応を見て、思わず首を振った。「衍、ただの女だろう、何がそんなにいいんだ?こんな扱いをする価値があるのか?彼女とこれらの女たちに何の違いがある……」
衍の目が危険に細まり、まだ怒りの名残を残したまま、真っ直ぐに秋陽を見つめた。彼の驚いた目の前で、衍は彼の襟首をきつく掴み、冷たい口調で言った。「今言ったことを、取り消せ!」
秋陽は衍の強い反応に驚いた。先ほど彼が勝手にこれらの女性たちを呼んだ時、衍は嫌悪感を示したものの、彼に悪態をついたりはしなかった。
しかし今、衍は永川安瑠のために彼に手を出したのか?