第231章 いわゆるバタフライ効果

武内衍は同様の事態が再び起こることを心配し、永川安瑠に家で休養するよう言い、しばらく会社に行かないようにと伝えた。安瑠は断りたかったが、お腹の子のことを考えると、頷いて承諾した。

彼女は自分が飛び跳ねたり走り回ったりするのが好きだということを自覚していた。もし何かにぶつかったり転んだりしたら、取り返しがつかなくなる。

また、どうやって衍に妊娠したことを探りを入れようか考えていた。もし彼が子供を拒絶しないなら、彼に告げるつもりだった。しかし、もし彼がこの子を望まないなら、彼女は迷わず去るつもりだった。

暇になった安瑠は部屋に閉じこもり、マタニティヨガをした後は休息を取り、部屋で音楽をかけていた。この家は防音効果が高く、外には聞こえなかった。

彼女は上手く隠していた。服もゆったりとしたものを選び、森里竹と森斉史以外、武内家の誰も彼女が身ごもっていることを知らなかった。

しかし、起こるべきことは必ず起こるもの。安瑠がどれだけ外出を控え、外界との接触を断っても、避けられないことがあった。

マタニティヨガを終えて昼寝をしようとした時、突然スマホが鳴った。手に取ってロック解除し、見てみると、彼女の顔色が変わった。

それは一枚の写真で、下にメッセージが添えられていた。

【新未大橋。一時間以内に来なければ、もっと驚くものを見ることになるぞ。】

武内易之!

この見ただけで殴りたくなるような口調は、易之というクズ以外にありえない!

どうして彼がこんな写真を持っているの?

安瑠は目に浮かぶ疑問を押し隠し、床から立ち上がってクローゼットに行き、服を着替え、バッグを持って出かけた。

「若奥様、どちらへ行かれますか?森斉史がいつでもお守りします。今回はどうか気をつけて、無理なさらないでください」五丁さんは安瑠が階段を降りて外に向かうのを見て、真剣な表情で注意した。前回のような無謀な行動を取らないか心配だった。

安瑠は五丁さんに微笑みかけ、「五丁さん、友達に会いに行くだけです。約束します、夕食前には必ず帰ってきますし、無茶はしません」と言った。

五丁さんは何度も念を押した後、ようやく運転手に安瑠を送らせることにし、斉史が密かに彼女を守ることになった。

新未大橋は海に面し、繁華な都市を背にした、茨城の有名なランドマークだった。