48章 深谷千早がネックレスにこだわる理由_3

「このネックレスは藤原社長が白井香織さんに贈った愛の証なのでしょうか？」

深谷千早は瞳を微かに動かした。

その瞬間、カメラがズームインし、クローズアップで白井香織の首に掛けられたピンク色のネックレスが映し出された。

無数のカメラのシャッター音と共に。

それはとても派手に、彼女の首に掛けられ、きらきらと輝いていた。

「私が言えるのは、白井香織が確かに藤原蘭ジュエリーの広告塔に決まったということだけです。それ以外はノーコメントです」藤原宴司はそう言い捨てると、香織を守るように一緒に会場を後にした。

カメラは二人の後を追い、二人が入口に停めてあった藤原宴司専用のマイバッハに乗り込む様子を映した。

そして車は走り去った。

ライブ配信は終了した。

千早もちょうどその時、小林温子から電話を受けた。「私、本当に藤原宴司のあの鬼畜を殺してやりたい！知ってる？私、この前父に頼んで藤原宴司にあのネックレスを売ってくれるよう直接電話してもらったのに、宴司は断ったのよ。しかも断った理由が『妻がとても気に入っている』だって！」

「どういうこと？彼の妻ってあなたじゃなくて白井香織なの？！」温子は肺が爆発しそうなほど怒っていた。

彼女はその時、本当に父親に土下座するところだった。それでやっと父親が承諾してくれたのに。

後で父親から返事があり、千早と宴司の問題に首を突っ込むなと言われた。二人の夫婦仲は良好だから、余計な心配はするなと。

彼女はその時半信半疑だったが、千早にネックレスを買えなかったことを伝えなかった。千早が失望したり、宴司に期待して更に失望することを恐れたからだ。

しかし今、我慢の限界だった。

すべてを打ち明けた。

言った後で少し後悔した。

なぜなら、しばらく千早からの返事がなかったから。

きっと傷ついているのだろう。

ひどく傷ついているに違いない！

彼女がとても欲しがっていたネックレスを、宴司は本当に他の女性にプレゼントしたのだから。

「千早、大丈夫...？」温子は恐る恐る尋ねた。

「大丈夫よ」千早はとても冷静だった。

たった今まで確かに冷静ではなかったけれど。

なぜなら、宴司からの返事も「妻がとても気に入っているから、誰にも譲れない」というものだったから。

つまり、宴司の心の中では、彼の妻はとっくに香織になっていたのだ。