第128章 過去（1更）_2

「相変わらず冷血で情け容赦ないな」木村冬真は冷ややかに皮肉った。

この街に未練はないのか？

この街には彼女が未練を持つ価値のある人間が誰もいないのだろう。

「あなたはずっと前から知っていたでしょう」春野鈴音は認めた。

「もう二度と私の前に現れるな。次は本当に、生きた心地がしないようにしてやる」冬真は冷たく威嚇した。

鈴音は唇をきつく結んだ。

彼女は冬真の前に現れようなど思ったことはなかった。

むしろ避けるのに必死だった。

おそらく。

本当に別の街に引っ越すことを考えるべきなのかもしれない。

……

午前4時。

鈴音はようやく仕事を終えた。

KTV全体のお客さんが帰った後だった。

隣の個室のお客さんは12時過ぎに帰ったようだが、冬真はもっと早く帰ったのだろう。

彼らのグループが帰る時、彼女は冬真の姿を見かけなかった。

ただ冬真の彼女である深谷夕遅がよろめきながら人混みの中にいるのは見かけたが、みんな彼女をあまり好きではないようで、冷たい態度を取っていた。

一方、深谷千早と小林温子は、相変わらず仲が良さそうだった。

少し羨ましく思った。

幼い頃から、彼女には心を許せる友達が一人もいなかった。

もちろん彼女も友達を作ろうとはしなかった。

学生時代も、自分に有利になる友人を目的を持って作っていた。結局、彼女の家庭環境では普通に生きていくことすら難しく、今日食べられても明日食べられるかわからない生活だったから、あちこちで食事をたかり、多くの彼氏を作って金銭的な援助を受けていた。そして最終的に冬真に目をつけたのだ。

実際、彼女は冬真が自分に興味を持つとは思っていなかった。二人はあまりにもかけ離れていた。冬真が彼女のような成績も悪く評判も良くない女子を好きになるはずがなかった。

彼女は本当に運試しのつもりで彼に近づいた。

結果として、初めて積極的に話しかけた時、彼は彼女を嫌がらなかった。

彼が食堂で食事をしている時、彼女は向かいに座って彼のチキンレッグを食べたいと言うと、彼はくれた。

それからは頻繁に彼の食事にたかるようになった。

やがて学校中で冬真が彼女を好きだという噂が広まった。

彼女が冬真に尋ねると、彼はそうだと言った。

なぜかと聞くと。

彼は、言葉では表せないと答えた。