第159章 危険な救助_2

彼は自分がどれだけ飲んだのか分からなかった。

今、頭の中の記憶はすべて断片的だった。

しかも今、胸がとても苦しく、まるでそこに火の塊が押し付けられているようで、発散したいのに発散の仕方が分からない。口の中もカラカラに乾いていて、冷たい水で内なる熱を冷ましたい...言葉にできない欲望のようなものもあった。

以前も酔ったことはあったが、こんな感覚はなかったはずだ!

徳永颯が起き上がると、その瞬間、床に倒れている深谷千早が目に入った。

千早がなぜ目の前にいるのだろう?

彼女は帰ったはずでは?

それなのに彼が電話をかけても出なかった。

颯は自嘲気味に笑い、つぶやいた。「幻覚まで見えるようになったか」

「幻覚じゃないわ、徳永颯」千早も彼が目覚めたのを見ていた。

彼女は大きな声で話そうとしたが、出てくる声は弱々しく、力がなかった。

今、床に倒れている彼女は、起き上がろうとしても非常に困難だった。

颯は一瞬固まった。

おそらく今の状況が現実なのか幻なのか確認しているのだろう。

「あなたは今夜酔っぱらって、私があなたを迎えに来たの。でも途中で何かあって、気がついたらここにいたわ。ここはホテルみたいね」千早は息も整わないまま言った。「今はまだ私たちの間に何が起きたのか思い出せないけど、誰かに罠にはめられたと思う」

「罠?」颯はますます理解できなくなった。

「とりあえずここから出ましょう」千早はこれ以上説明したくなかった。

彼女はベッドの側面につかまりながらゆっくりと立ち上がった。

颯もベッドから降りた。

彼も千早のように床に倒れてはいなかったが、体にはあまり力が入らなかった。

二人はドアに向かって歩いた。

しかしドアは外から鍵がかけられていた。

千早は全力を尽くしても開けられなかった。

颯も何度か引っ張ってみたが、まったく開かなかった。

二人はドアを叩いたが、外には誰もいないようだった。

千早は部屋で携帯電話を探した。

彼女と颯の携帯電話は見つからず、ホテルの客室サービスの電話もなかった。

千早はますます状況が怪しいと感じた。

額から汗が止まらなく流れ、体の感覚もどんどん奇妙になっていった。

千早だけではなかった。

颯も同じだった。

彼の千早を見る視線はますます熱を帯びていった。