第170章 藤原夫人も私のことが好き？

深谷千早は藤原宴司に引っ張られ、そのまま会社を出た。

二人が車に乗っている間、千早はまだ少し茫然自失としていた。

宴司の今日の行動は、明らかに常識外れだった。

彼は本当に白井香織が怒ることを心配していないのだろうか？

二人がこのまま仲違いすることを心配していないのか？！

正直言って、もし自分が香織だったら、宴司を許すくらいなら犬になった方がましだ！

千早が宴司に何か言おうとした時、突然彼女の電話が鳴った。

着信を見て、彼女は迷わず電話に出た。

ただし、受話器を耳から少し離して。

「あああああ！」

向こうから小林温子の悲鳴が聞こえた。

こういう反応になることは予想していた。

「千早、私すごく興奮してるの！藤原宴司って今日超かっこよかったじゃない！彼が公の場であなたたちの結婚関係を発表するなんて、私がどれだけ興奮したか分からないわ。認めるけど、彼が発表する前は、ちょっと大声で彼のことを悪く言っちゃったかも」温子は興奮気味に言った。

千早は少し呆れた。

この人は本当に、腸が曲がっていないというか、あまりにも率直すぎる！

「香織の顔色見た？本当に白い紙みたいに真っ白になってたわ。まさに彼女の名前にぴったりね！」温子は一人で勝手に話し続けた。「香織は今日帰ってから泣き崩れるんじゃない？彼女が泣いて騒いで首つりをちらつかせて宴司を脅すなんてことないよね？あの緑茶女、きっとそんなことするわよ！」

「今本当に嬉しいわ。何年も抑えてきたモヤモヤが、今一気に発散された気分！昨日の夜、あなたを陥れた人って誰だと思う？」温子は千早に尋ねた。「誰でもいいけど、とにかく今日の結果を見て、その人はきっと血を吐くほど悔しがってるわよ！」

「深谷夕遅よ」千早は確信を持って答えた。

「実は私もそう思ってた。あの女はあなたが幸せになるのを見たくないのよ！昨日の夜、私と宴司があなたを探し回っていた時、彼女は姿を隠していたわ。きっと事がバレるのを恐れていたんでしょうね」温子は怒りを込めて言った。

「彼女が隠れていたの？」千早は驚いた。

夕遅がそんなに賢くて、この事態が露見することを予測できるとは思えなかった。

「実は香織のことも疑ってるのよ」

千早は宴司を一瞥した。