第118章 榎本さんは障害者にも劣る

「私は今田由紀の夫ですが、榎本さんはお忘れですか？」佐藤陸は女性的な冷笑を浮かべ、それが榎本剛をさらに刺激した。榎本は怒鳴った。「お前が彼女の夫だと？彼女はお前なんか愛していない。お前みたいな障害者を彼女が好きなわけがない！由紀に電話を代われ。なぜ彼女に出させないんだ、このクソ野郎！」

「私が障害者？でも彼女は私のような障害者を選んでもあなたは選ばなかった。榎本さん、あなたは障害者以下ですよ！妻が電話に出ないのは、さっき私に疲れ果てて眠ってしまったからです。あなたの電話に出られないほど疲れているんですよ！」

陸は冷ややかに鼻を鳴らした。相手は発狂したように叫んでいたが、陸はこれ以上聞く気はなかった。

そのまま電話を切った。

「お、お前、この障害者が、何の権利で...彼女はお前なんか愛していない、絶対に...」

榎本は陸の言葉に刺激され、狂ったようになっていた。真っ赤な目は傷ついた野獣のようで、嫉妬の炎が胸の内で暴れ、肝も肺も張り裂けそうなほど苦しかった！

「くそっ、なぜだ、あいつに何の権利がある？あいつには資格がない、由紀は俺のものだ、俺のものだ！！！」

榎本は何杯もウイスキーを一気に飲み干した。周りの人は彼が狂ったように見えたので、二言三言諭したが、榎本に突き飛ばされ、それ以上は忠告しなかった。

その中の一人、彼と仲の良かった友人が泉里香に電話をかけ、迎えに来るよう頼んだ。

……

今田由紀がバスルームから出てきたとき、陸はまるで何事もなかったかのように、ベッドから起き上がり、自分の隣を叩いた。「ドライヤーを持ってきて、お兄さんが髪を乾かしてあげるよ！」

「陸兄さん、私自分でもできますよ！」由紀は少し嫌そうにドライヤーを持ち、わざとらしく不満を漏らした。

実は彼女はドライヤーで髪を乾かすのが好きではなかった。面倒くさいと思っていて、いつもタオルで数回拭いて適当に梳かすだけで済ませていた。

ドライヤーは少しずつゆっくりと乾かさなければならず、彼女にはその忍耐がなかった。乾かした後に寝る方が快適だとわかっていても、彼女の怠け心には勝てなかった！