第185章 佐藤お坊ちゃんが触ってほしがる

今田由紀は小さな顔を上げて佐藤陸を見つめ、彼を頭からつま先まで観察した。

陸には、この小さな女の子の不安げな眼差しが見えるだけだった。その小さな目は切迫していて、彼は無視することができなかった。

「可愛い子、僕は目が見えないんだ。歩けるようになったけど、それでもちゃんと僕を導いてくれないと。そうしないと、いつ車を見つけて家に帰れるかわからないよ！」

陸は由紀の腰に手を回し、由紀は彼の足をじっと見つめ、動かなかった。二人はこの姿勢で約5分間そのままだった。

後ろのファンの女性たちは野田院長が派遣した人々によって阻止され、陸と由紀はずっとエレベーターの中にいた。エレベーターのドアが開いたり閉じたりしても、由紀は外に出ることを忘れていた。

魅惑的で純粋な瞳がきらきらと輝き、ずっと陸を見つめていた。彼女の手は陸の腕をしっかりと掴み、まるで瞬きをすれば目の前の陸が消えてしまうかのようだった。

「陸兄さん、あなたは本物ですか？」

由紀は恐る恐る尋ねた。

陸はプッと笑って言った。「僕が偽物だと思ったの？この病院にはまだクローン人間を作る技術はないと思うけど！」

「違う違う、そういう意味じゃないの。本当に不思議だなって思って。この足が本当に3日で回復したなんて。野田院長は嘘をついていなかったのね。私はてっきり...この足は本物ですか？！」

由紀は手で触ってみたいと思ったが、触る勇気がなく、ただそこに立ち尽くし、赤く染まった唇を噛みながら、何かを小声でつぶやいていた。

陸は彼女の手を取り、由紀の手を彼の長くまっすぐな足に置こうとした。

由紀は驚いて手を引っ込めた。「陸兄さん、何をするの？！」

「君は僕が本物かどうか確かめたいんじゃないの？触ってみて...」

陸の色気のある魅惑的な声が由紀の敏感な耳の周りに響き、由紀は全身を震わせ、顔を赤らめて言った。「やめて...ここは外だし、家の中じゃないし...」

「可愛い子はつまり、家の中なら大丈夫ってこと？じゃあ早く家に帰ろう。家に帰ったら可愛い子に思う存分触らせてあげる。可愛い子がどこを触りたいか、陸兄さんは全部許すよ、いいかな？」

陸は恥ずかしさで頭を下げ、もう背筋を伸ばせないほどになった由紀を抱きしめた。