ベッドの上の佐藤陸は自分の体にかけられていた布団を一気に引き剥がし、瞳の色が深くなった!
あと少しで成功するところだった。この小娘の体も自分の触れ合いをそれほど拒絶していなかった。
さっきはもう少しで、彼女は自分に攻略されるところだった。
なのに最後に……
今田由紀が洗面所で気持ちを整え、後悔を抱えて出てきたとき、ふと佐藤陸がベッドにいないことに気づいた!
「陸兄さんは?陸兄さん——陸兄さんどこにいるの?怖がらせないでよ、どこにいるの?」
由紀は陸が見当たらず、部屋中を探しても見つからなかった。
二日前に家に泥棒が入ったことを思い出し、由紀はパニックになり、スリッパが脱げたことにも気づかなかった。
裸足のまま急いでドアの外へ走り出した。
彼女はドンドンドンと階段を駆け下りた。「陸兄さん、陸兄さん?陸兄さん返事してよ、どこにいるの?!」
由紀はとても怖くなり、陸が見えないので焦って泣き出した。
「可愛い子、どうしたの?陸兄さんはここだよ!」
陸は車椅子に座り、ダイニングテーブルで由紀のために牛乳を注いでいた。
由紀は陸を見つけると、思わず駆け寄ろうとした。
陸もその小さな動きに気づき、腕を広げて彼女を迎えようとしたが、由紀は二歩走ったところで突然立ち止まった。
その場に立ち尽くし、陸を見て言った。「陸兄さん、牛乳を注いでたんだね。一言言ってくれれば、私が注いであげたのに。置いて、私がやるよ!」
由紀はゆっくりと前に進み、陸の手にある牛乳パックを指さした。
陸は牛乳パックを握る手に思わず力が入り、由紀の裸足を見つめた。この小娘は先ほど彼が見当たらないと思って、あんなに焦っていたのに、なぜ今はこんなにすぐに落ち着けるのだろう?
彼女が彼を心配していないとは思えない。だって、彼の可愛い子は焦ってスリッパも脱げたままだったのだから!
陸は手の牛乳パックをテーブルに置いた。「いいよ、可愛い子が注いでくれて。実は可愛い子のために用意したんだ!」
「私のために用意してくれたの!」由紀は小さく叫び、眉と目が柔らかく動き、笑いながら言った。「ありがとう陸兄さん、でも私、牛乳飲まないよ!」
「いい子だね、牛乳は眠りを助けるよ。飲めばぐっすり眠れるよ!」