第052章 佐藤少爺が義母へのプレゼントを選ぶ

翌日、佐藤陸は胸元のふわふわとした感触に目を覚ました。彼はいつも冷淡で、長い間一人で寝ていた。誰も彼に近づくことはできなかったし、彼も他人が近づくことを許さなかった。

まだ少し慣れない感覚に、目を開けて怒ろうとした瞬間、今田由紀の美しい顔が目の前に広がっていた。

彼女の繊細で白い肌は赤ちゃんのように滑らかで、桃の花びらよりも鮮やかな紅色の唇、くるんと巻いた濃いまつげがわずかに震え、小さな口を尖らせて何か悪い夢でも見ているようだった。眉をひそめ、ふわふわした頭を陸の胸元にすりすりとこすりつけていた。

陸は満足げに彼女が自分の腕の中で動き回るのを見つめ、少しも苛立つことなく、身を屈めて彼女の額にキスを落とした。

「小さな悪魔め、本当に人を苦しめるな！」

陸は彼女を深く見つめ、心の中で思った。数日後、彼女が警戒心を解いたら、必ず元本と利子を合わせて取り返してやろう。

由紀はいつも寝坊する方だったが、今は陸のところにいて、陸の柔らかく広いベッドで寝るのは言うまでもなく快適だった。

彼女は今も学生で、陸は細田に彼女の情報を調べさせた。近々彼女はインターンシップに出て仕事を探す予定だった。彼は彼女に外で働いてほしくなかったが、結婚したばかりで彼女の自由を制限したくはなかった。

彼は由紀が大好きで、常に自分の目の届くところにいてほしかった。もし彼女がどうしても仕事を見つけたいなら、佐藤グループで働かせることもできた。

陸がそう考えていると、隣のテーブルの内線電話が鳴った。「少爺、細田次郎さんからのお電話です。おつなぎしましょうか？」

「つないでくれ！」

「かしこまりました！」

数秒後、電話の向こうは助手の細田の声に変わっていた。

「ボス、今日病院から電話がありまして、今田夫人が目を覚ましたそうです……」

今田夫人とは由紀の母親のことだ。陸はそれを聞くと、彼の腕を抱きしめてぐっすり眠っている由紀を振り返り、唇の端を上げて言った。「わかった。今田夫人が普段何を好むか調べてくれ。彼女の好きなものは全て用意しろ！」

「え？ボス、これは……はい、すぐに手配します！」

細田は不思議に思ったが、陸の命令は無条件に実行するのが常だった。