第017章 陸兄さんは本当にいい人

中村智也は今田由紀がそう言うのを聞いて、口元が何度かピクピクと痙攣した。心の中で、彼女がこんなことを言うのを聞くとなぜこんなに違和感があるのだろうかと思った。

まるで彼が売春斡旋者のようだ！！！

「ははは、今田お嬢様こんにちは、こんなに早く再会することになりましたね！」

「こんにちは……」由紀は頭を佐藤陸の肩に乗せ、彼の腕にしがみついて、泣きはらした目をパチパチさせながら後ろにいる智也を見た。

彼女のこの可愛らしい姿はまるでトトロのようだった。

智也が彼女に話しかけようとすると、由紀はゆっくりと頭を陸の胸元に引っ込めた。智也は気まずい思いをし、自分の鼻先を指で撫でながら、心の中で考えた。自分はそんなに悪人に見えるのだろうか？

なぜ由紀は彼を見てこんなにも怯えているのだろう？！

由紀は陸の腕をつかみ、頭を彼の胸に埋めたまま、小さな顔を上げて陸を見上げ、小声で言った。「陸兄さん、あの青木さんはあなたの友達なの？！」

陸はうなずいた。「そうだよ！」

「じゃあ、お母さんに渡した五十万円は彼が振り込んだの？！」由紀はさらに尋ねた。

陸は意味がわからないままうなずいた。「そうだよ！」

実際にはそれは彼自身のお金だったが、この件は確かに智也に任せて処理してもらったので、陸は彼女に確信を持って答えた。

由紀はこれを聞いて、小さな顔がすぐに曇った。「陸兄さん、この人は本当にあなたの友達なの？あの日、彼は至る所で女性を探して結婚の手配をしていたわ。それから私も……陸兄さん、彼がこうして街中で結婚相手を探していたのは、あなたに紹介するためだったの？！」

「うん！」陸は両腕で彼女の小さな体を包み込み、優しく抱きしめた。熱い息が彼女の頬にかかる。由紀は小さな唇を尖らせて言った。「陸兄さん、どうして彼はあなたに結婚相手を紹介しようとしたの？！彼は一方であなたに結婚相手を探しながら、五十万円も払う責任があるなんて、本当にあなたの友達なの？もしかして彼があなたを車で轢いたんじゃないの？だから責任を取らなきゃいけないの？そうなんでしょ、私は彼が良い人には見えないと思ったわ！」