今田由紀は顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに佐藤陸を押しました。「陸兄さん、ちょっと動いてくれない?私が起き上がって助けるから…」
陸は彼女のそんな恥じらう姿を見つめ、もう我慢できなくなって…
由紀は陸のこの行動に完全に驚いてしまった。
彼を押しのけることもせず、目を大きく見開いて、ただじっと相手を見つめていた。
由紀のそんな呆然とした可愛らしい様子を見て、たまらなく愛おしく思った陸は、最初はただ軽くキスするつもりだったのに、思わずそのキスを深めてしまった。
由紀は今、全身が硬直して、どうすればいいのか全くわからなくなっていた。
彼女にはキスのテクニックなどなく、今の表情も呆然としたままだった。陸は彼女の初々しさを味わいながら、心の中でますます満足感を覚えていた。
由紀の顔はまるで火がついたように熱くなり、これ以上陸の好きにさせるわけにはいかないと思った。
陸が次の行動に移ろうとしたとき、由紀はようやく我に返った。
陸の不埒な手をぐっと掴み、全力で彼を自分の体から押し離した。彼女は素早く床から立ち上がった。
そして落ち着かない様子で傍らに立ち、どうしていいかわからずにいた。
陸は彼女にそう押されて、欲望の臨界点にあり、彼女の美しさを楽しんでいたところだった。
しかし不意に彼女に押しのけられ、体は直接床に叩きつけられた。
彼はこんなに惨めな思いをしたことがなかった。顔が浴室の床に押しつけられ、痛みが走った!
これが普段なら、誰かが陸にこんなことをすれば、陸はその人間をビルから投げ落としていただろう。
彼はそれほど高慢な人間だったので、今このような扱いを受けて、当然ながら激怒していた。たとえその相手が由紀であっても例外ではなかった。
彼は眉をひそめ、少し不機嫌そうに由紀の方を振り向いた。由紀は頭を垂れ、指を絡ませながら、唇を噛んで今にも泣きそうだった。
陸は怒りを爆発させようとしたが、彼女のそんな従順な様子を見ると、どうしても怒れなかった。
彼は本当に手の施しようがなかった。由紀にはそういう力があった。彼女は彼を怒らせても、瞬時に彼の怒りの炎を消し去ることができた。
彼を怒らせることができないのだ。
彼はうめき声を上げた。「うっ、痛い〜」