今田由紀は一人でカフェに座り、高橋美奈から渡された録音ペンの内容を最後まで聞いた。
可愛らしい顔は青ざめ、暗く沈んでいた。自分があんなにも淫らな声を上げ、しかもあの男たちに懇願し続けていたなんて、想像もできなかった。
「違う、そんなはずない、あれは私じゃない、私はそんなことしていない…どうしよう、美奈が私を騙していると思っていたけど、本当に気絶させられた後、彼らに…私はバカみたいに自分はまだ清らかだと思い込んで、汚されていなければ陸兄さんの側にいられると思っていた。でも私はもうこんなに汚れてしまった、もう陸兄さんの側にいることはできない、もう二度と…」
由紀は顔を覆い、涙が指の隙間から流れ落ちた。
ポタポタとコーヒーテーブルに落ち、大粒の水滴の跡を作っていた。
彼女はどうすればいいのか分からなかった。このカフェを出た後、どこへ行けばいいのか分からなかった。
陸兄さんのところへ行くべき?
陸兄さんは潔癖症が酷い。自分がこんな恥知らずな女だと知ったら、まだ許してくれて、一緒にいてくれるだろうか?
お母さんのところへ?お母さんの病気は良くなったばかり。もし自分がこんな恥ずべきことをしたと知ったら、お母さんはショックで倒れてしまう。行けない、絶対に行けない…
彼女は立ち上がり、美奈が渡した資料をすべて片付けた。書類に写っている自分と三人の男がベッドの上にいる写真を見て、足元がふらつき、狂ったように喫茶店を飛び出した。
道端のゴミ箱の前に来ると、自分の淫らな姿が写った写真を一枚一枚細かく引き裂き、すべてゴミ箱に押し込んだ。
録音ペンもゴミ箱に投げ入れたが、突然、誰かがこの録音ペンを見つけて拾い、中の声を聞いたらどうなるかと思いついた。
彼女は慌てふためき、必死にゴミ箱の中をかき回し始めた。幸い、ゴミ箱の中には彼女が捨てた写真の破片以外にほとんど何もなく、すぐに録音ペンを見つけることができた。
彼女は呪わしい録音ペンをしっかりと握りしめ、爪を立てて力いっぱい折り曲げた。割れた爪が手のひらに食い込み、鮮血が滲み出た。
由紀は痛みに最も弱く、少しの痛みも耐えられないタイプだった。
しかし今、手のひらが切れて血が出ているのに、彼女はまったく痛みを感じなかった。
心の中で味わっている苦しみに比べれば、この程度の痛みなど取るに足らないものだったからだ。