第228章 青いバラ99本

星野寒はドアを開けて車から降り、足を止めた。金色の陽光が彼の周りに優しく降り注ぎ、彼の黒い服装に暖かみを添えていた。

彼は眉目に浅い笑みを浮かべ、一歩一歩と花屋へ向かって歩いていく。広田崇は心の中の疑問を押し殺し、すぐに車から降りて後を追った。

ヨーロッパ風の建築様式の花屋の入り口には、色とりどりの、様々な貴重な種類の美しい花々の鉢植えが所狭しと並べられていた。

艶やかに輝く花びらが暖かな陽光の下で咲き誇り、そよ風が優しく吹くと、花の香りが風に乗って漂い広がっていく。

太陽が反射する光の粒子が花々に降り注ぎ、百花繚乱の様相を呈し、緑の葉の引き立てによって、目を奪うほどの美しさを放っていた。

寒は一鉢の青いバラの前に立ち止まった。

青いバラはまるで異国の姫君のように、神秘的で妖艶、華麗で魅惑的だった。

うん、ある人の雰囲気と完璧に調和しているようだ。

文芸的な雰囲気を持つ女性店主は、リネンの長いワンピースを着て、急いで店内から出てきて客を迎えた。

「お客様、どのようなお花をお探しですか?どなたにプレゼントされるのでしょうか?」

寒は眉一つ動かさず、店主を見ることもなく、ただ視線を崇に向けた。

「青いバラを99本...」

この言葉を残し、寒は身を翻して再び車に乗り込んだ。

車に座った寒は表情を変えなかったが、瞳の奥には輝く光が揺らめいていた。

彼は美しい弧を描く唇の端を上げ、大きな束の青いバラを抱えて近づいてくる崇を見つめた。

「星野社長、この花は誰に?」崇はやや躊躇いがちに尋ねた。

「これを初陽に届けてくれ。そしてこれからの毎日、一束ずつ送り続けるんだ。青いバラの花言葉が何か、彼女ならきっと分かるだろう...」

99本の青いバラ、彼女ならきっと理解してくれるはずだ。

これからの歳月がどれほど長くとも、彼は彼女と共に静かな日々を過ごし、互いに支え合い、白髪になるまで共に生きていきたいと願っている。

これが、彼女への約束だ。この約束は、死ぬまで悔いることはない。

この約束は、丸三年も遅れてしまった。

今後は、二度と簡単に手放したりはしない。彼女が遠くへ行くことを許さない。

崇は心の中でうんざりしていた。一日中どれだけの恋愛自慢を見せつけられるのだろう。社長がこんなに無制限に愛を誇示するなんて。