胆はかなり太い

宵月司星は木村伊夜を呼び止めようとした。

薄い赤い唇が二度ほど動いたが、結局言葉を飲み込んだ。

彼はツンデレ気味に体を反転させ、ソファに仰向けになった。

「小さな助手、今すぐ戻ってくるよう命令する」

男は長い脚を曲げ、腕を枕にして自由気ままに横たわり、怠惰でありながらも気まぐれな様子で、命令口調で言った。

しかし、返事はなかった。

司星の顔に少し焦りが見えた。

漆黒の瞳で、いくぶん苛立ちながらドアの方向をちらりと見たが、伊夜はなかなか戻ってこなかった。

「胸は小さいくせに、随分と図々しいな」司星は眉を少し上げ、軽蔑したふりをした。

しかし伊夜は本当にそのまま行ってしまったようだ……

彼の心の中には、実際に少し不快感があった。

「誰の胸が小さいって？」

伊夜は食事の盆を持って、不意に書斎に入ってきた。腕にはタオルもかけていた。

彼女は不満そうに鼻を鳴らした。

重々しく盆を机の上に置き、桃の花のような目を丸く見開いて、「あなた、良心に手を当てて話せないの？」

あの夜、彼は十分に楽しんでいたじゃない！

特に彼女の胸を…あのあのなんていうか、そういう時、彼は一度も小さいなんて文句を言わなかったはずだ！

「じゃあ、服を脱いで証明してみるか」司星は目を閉じ、見る価値もないという態度を取った。

伊夜は「ちっ」と舌打ちし、彼を無視した。

彼女はぶっきらぼうに温かいタオルを腕から取り、適当に司星の腹の上に投げた。

「うっ……」司星は思わず呻いた。

水を含んだタオルはそれなりに重く、しかも彼はまだ胃の痛みと闘っている患者だった。

「木村伊夜、殺す気か？」彼は黒い瞳を開いた。

「うん」伊夜は輝くような笑顔で頷き、「あなたのお粥に毒も入れたわよ、飲む？」

彼女は振り返って、机の上の食事盆を一瞥した。

今食べるには適さない小皿を下げ、各料理を再度温め直していた。

「お前は今……」司星は軽蔑するように食事盆を見た。

彼は目尻を軽く上げ、無関心そうに見せながら、話題を変えた。「お前は今、俺に毒を盛りに行ってたのか？」

「そうよ、毒の効き目はどうかしら？」伊夜はお粥を持ってきて、司星の前に差し出した。

本当にツンデレな男だ……