ハサミの殺傷力がどうであれ、木村伊夜がやろうとしていることには影響しない。
眉毛用のカミソリでさえ、問題ないのだ。
津紀子はステージを離れた後、自分の休憩エリアに戻り、伊夜のボトルが空になっているのを見て、瞳の奥に密かな喜びの笑みが浮かんだ。
「ざまあみろ」彼女は軽蔑的に嘲笑った。
津紀子は自分の前にあるオレンジジュースのグラスを手に取り、爽快に一気に飲み干した。
「津紀子お姉さん」
そのとき、伊夜が突然近づいてきた。
彼女は津紀子の隣に座り、自ら手を伸ばして彼女の肩に置き、柔らかく微笑んだ。「私たち二人の間は、和を大切にするべきだと思うの」
「また何をしようとしてるの?」津紀子は警戒して彼女を見た。
この時点では、彼女が自分に仕掛けた薬の効果はまだ現れていなかった。
「何もしないわよ」
伊夜は甘く輝くような笑顔を浮かべ、腕を津紀子の腰に回した。「ただ津紀子お姉さんに敵意を持ってほしくないだけよ」
津紀子は伊夜の親密な仕草に、少し嫌悪感を示した。
彼女が横に身をずらすと、伊夜もそちらに寄ってきた。「津紀子お姉さん、私を怖がらないで」
彼女は自分の手を引っ込めた。
あの小小なハサミも、彼女は隠した。
伊夜はしばらく考えてから、「こうしましょう、今夜は津紀子お姉さんと争わないわ。ステージは全部あなたのものよ」と言った。
そう言うと、彼女は立ち上がり、本当に去ろうとする様子だった。
「待って」津紀子は突然彼女を呼び止めた。「今言ったこと、本当に本心なの?」
彼女は半信半疑で伊夜を見つめた。
実は彼女が不思議に思っていたのは、あのオレンジジュースを飲んでからずいぶん経つのに、なぜまだ薬の効果が現れないのかということだった。
なぜ彼女は...まだ話せるのか?
「もちろんよ」
「それならいいわ。あなたがずっとこうして私の仕事を奪わないでいてくれることを願うわ」津紀子は立ち上がった。
彼女は鼻高々と、再びステージに戻っていった。
伊夜はすぐに笑顔を引っ込め、そのハサミをさりげなく脇に置いた。
高揚する音楽に合わせて、津紀子のセクシーなダンスが始まり、バー全体の情熱に火をつけた。
「脱げ!脱げ!早く脱げ!」
津紀子は柔らかな体をポールに絡ませ、薄いショールを挑発的に脱ぎ捨てた。