タオルは長いものの、少し幅が狭かった。
木村伊夜の曲線美を描く華奢な体に巻かれたそれは、少し滑稽で窮屈そうに見えたが、同時に強烈な視覚的インパクトを放っていた。
長く白い二本の脚が宵月司星の目の前で揺れ、雪のように白い肌は淡い光沢を放ち、二つの高みはまるで今にも現れそうな様子で、隠れたり見えたりしていた。
「早く離してよ」伊夜は珍しく慌てていた。
彼女は両手でタオルを押さえ、何とか体から滑り落ちないようにするのがやっとだった。
「バスタオルもバスローブも持ってこなかったのか?」
司星は明らかに彼女を見つめていたが、その眉目には少し無関心な様子が見えた。「なぜ俺に助けを求めない?」
「私は…」
伊夜はしばらく説明できなかった。
そこで、彼女は厚かましく言った。「私は花のように美しく、月のように麗しく、国をも傾ける美貌の持ち主だから、あなたが無礼を働くのが怖いの」
実際、真実もそれとさほど変わらなかった。
彼女は実のところ、司星との接触すべてを恐れていた。
この男を恐れているわけではなく、むしろ彼を愛しすぎているからこそ、前世の轍を踏むことを恐れていたのだ。
伊夜は一時的に自分の病状を彼に知られないようにすることはできても、永遠に隠し通せるとは限らない…
もし前世のように司星と関わり合いになれば、いつか彼は彼女のために心臓を探しに行き、田中祐介の手にかかって死んでしまうかもしれない。
だから、彼に自分を愛させるわけにはいかなかった。
愛さえしなければ、たとえ司星が彼女の病状を知ったとしても、彼女のために死のうとはしないだろう…
「花のように美しく?国をも傾ける美貌?」司星は興味深そうに目を伏せて彼女を見つめ、その表現を味わっているようだった。
少し大げさではあるが、嘘ではなかった。
司星は突然身を乗り出し、唇を彼女の耳元に寄せた。「お前は、俺がバスルームを貸したのは単に優しさからだと思っているのか?」
「俺は優しくない」彼は低く笑った。
そもそも若帝宵月司星を優しいと思う人間などいなかった。
伊夜の瞳は、何度か軽く逃げるように揺れたが、その瞬きの二回ほどで、まるで光が溢れ出るかのようだった。
「木村伊夜、薔薇園は狼の巣だ」司星は薄い唇を軽く曲げた。「そしてお前はすでに中に入ってしまった」