星夏CP杉山由夏

「うーん……まあまあかな」木村伊夜は小さな口をもぐもぐさせた。「歌姫星夏ほど華やかじゃないけど」

堂々たる歌壇女王が、他人のアシスタントになるなんて。業界が違えば山ほど違うというだけでなく、ちょっと悲惨じゃない？

「ふん……」宵月司星は冷たく笑った。

彼が聞いたのはそんなことじゃない。伊夜が彼の言いたいことを理解したのかどうか、誰にもわからない。

「さっき杉山由夏が言ってたコンサートって、どういうこと？」

再び拒否されるのを避けるため、司星は巧みに話題を変え、気まずい雰囲気を和らげた。

伊夜の美しい瞳がぱっと輝いた。「由夏に頼んで、半年後の世界ツアーコンサートの準備をしてもらってるの。お金稼ぎよ」

コンサートって、すごく儲かるんだから。

それに、あの裏切り女を懲らしめる絶好のチャンスでもある！

木村凪咲は彼女と同じ桃の花のような瞳を持ち、口元と顎を少し整形したため、マスクをつければ伊夜とほとんど見分けがつかない。

でも……

凪咲の喉は、永遠に歌を歌うことができない。

「お前たち二人の間に、余計なことがないといいがな」司星は突然体を起こして座り、少し拗ねたような様子を見せた。

この二人の女を一緒にするべきじゃなかった。

星夏と由夏が手を組んだら、芸能界がどれだけかき回されるか、想像もつかない！

「ないないない」伊夜は明るい瞳と白い歯を見せて、軽く微笑んだ。

そして彼女は顔を横に向け、小さな声でつぶやいた。「あったとしても、あなたに知られるわけないじゃない……」

司星はすぐに横を向き、冷たい視線を彼女に投げかけた。

結局何も言わなかったが、心の中で決意を固めた。絶対に妻から目を離さないようにしよう。外に出て他の女と百合関係を持つなんてことがないように！

……

ゼロ度バー。

司星は手の中のグラスを揺らしながら、スマホに表示された特別フォローの通知を見ていた。

その表情は、恐ろしいほど暗かった。

由夏と星夏のコラボレーションはまだ公表されていないが、最近二人がSNS上で頻繁にやり取りしていることで、芸能界内部やファンの間で憶測を呼んでいた。

【杉山由夏女王】女よ、私が恋しいか！@星夏V

【星夏V】今夜は体を洗って、ベッドで大人しく私を待っていなさい！@杉山由夏女王