「あっ……」
不意に、宵月司星は突然少女を横抱きにし、矢のように足早にベッドへ向かうと、彼女を押し倒した。
木村伊夜は少し戸惑いながら彼を見上げた。「あなた……」
まさか、エッチするつもり?
あぁ、ちょっと緊張する、まだ心の準備ができてない!
「火傷の治療をしてくれるんじゃなかったのか?」司星は目を伏せ、下にいる少女を見つめながら、薄い唇を軽く上げた。
それならば、キスだけでいい。
「あぁ……」伊夜は小さく頷くと、突然狡猾な笑みを浮かべた。「わかってるわ、全部わかってる」
キスがしたいけど素直になれないだけでしょ……
司星の性格なら、彼女が一番よく理解している。
少女は輝くような笑顔を見せ、蓮のような腕をゆっくりと彼の首に回した。少し身を起こし、自ら彼の唇に口づけた。
彼女の舌が、積極的に彼の口の奥へと絡みついていく。
「木村……」
「いいの、気を散らさないで」伊夜は司星の唇から離れ、赤い唇を軽く上げると、体勢を変えて今度は彼を下にして押さえつけた。
司星は「……」
あの夜も、この女はこんなに大胆だった。
司星は目尻を少し上げ、細長い鳳凰のような瞳に、妖艶さと気まぐれさが垣間見えた。「俺の上に乗るつもりか、ん?」
彼は冷ややかに笑うと、すぐに伊夜の腰を抱き寄せ、ベッドの上で半回転して、男が上で女が下という体勢を取り戻した。
彼は彼女の顎を持ち上げた。「やはり俺を狙っていたな」
自ら彼にキスするだけでなく、彼を誘おうとしているなんて。
伊夜は桃の花のような瞳を瞬かせ、色っぽい目つきで「そんなことないわ、最初にキスしたのはあなたでしょ」と言った。
「ふん……」司星は冷笑した。
なんとも立派な言い訳だ、反論のしようがない。
「今なら、俺と結婚してくれるか?」司星の目が輝いていた。
しかし彼女の返事を待たずに、男の大きな手が突然彼女の太ももに触れ、軽く撫で回した。
この極端に短いホットパンツは、彼にとって長い間目障りだった。
今日、学校でどれだけの男たちの魂を誘ったのか、知れたものではない。
「あの……私……んっ……」
伊夜が何か言おうとした時、司星は突然、彼女の口から出かかった「結婚」という言葉を封じた。
まるで彼女の拒絶を恐れるかのように、キスをすれば承諾したも同然だと。
「んっ……」