四方八方で一番の美人

石原山軒は内心では拒否していたが、それを少しも表に出すことはできず、気絶したふりを続けるしかなかった。

木村伊夜は長い棒を持って、あの大きな網の下に歩み寄った。澄んだ瞳と白い歯の笑顔は、星や月のように純粋で無垢だったが、どこか腹黒さを感じさせるものがあった。

山軒：「……」

彼は黙って自分自身を抱きしめた。

どうせ服越しなら、羽毛は彼を傷つけられないはずだ。

「木村さん、少々お待ちください」山崎執事が突然、伊夜が伸ばそうとしていた羽毛を止めた。

山軒は山崎執事が自分のために情けをかけてくれるのだと思ったが、どこからか梯子を持ってきたのを見て驚いた！

そして……

彼の靴下を脱がせたのだ。

「木村さん、どうぞ」山崎執事は人に命じて梯子を下げさせ、恭しく脇に立った。

伊夜は顎に手を当てて考えた。

宵月司星のこのいたずら計画は、実に完璧だ。

彼女はずる賢く笑うと、すぐに羽毛を山軒の足の裏に向けて伸ばし、くすぐり始めた。どんどん楽しくなってきた。

「ははははは、くそ、助けてくれ……ははははは、もうやめてくれ……くすぐったいよ、ははは……」

山軒は羽毛から逃れようと、大きな網の中で丸くなって転がり回ったが、逃れるどころか、麻縄に五体を縛られそうになった。

「言いなさい、私は小さな妖精でしょう？」

伊夜は楽しそうにくすぐりながら、思わず口角を上げ、ついでに詐欺師のように言い始めた。

「そうそうそう！義姉さんは絶対に小さな妖精です、いつでも四方八方で一番の美人に昇格できるような！」

山軒は涙が出るほど笑った。

彼はお腹を抱えて笑いを抑えようとしたが、何度も笑いすぎて息が詰まり、どうしても止められなかった。

「私は絶世の美女よね？」

「ははははそうそうそう！義姉さんが一番美しいです、あなたの容姿は私の目を眩ませ、心を爆発させました！早く早く、ははは、もうくすぐらないで……」

山軒は網の縄を掴み、泣き笑いした。

今となっては、伊夜がその防犯用スタンガンを選んで、彼を気絶させてくれた方がましだと思った。

「じゃあ、ちょっと計算しましょうか」

伊夜は羽毛を引っ込め、指を折りながら数え始めた。「あなたは私の服を二着汚し、私の名誉権を侵害し、さらに精神的損害の賠償も必要ね……」

「さあ、言ってみて、いくらくらい出すつもり？」