『石原山軒は心変わりした?』

川崎凛香の顔が青くなったり白くなったりした。

彼女は木村伊夜の鼻先を指差して、「あ、あ、あなた……あなたは私がそういう意味じゃないって分かっているくせに!」

彼女はただ感慨深く一言言いたかっただけで、まさか伊夜に会えるなんて!

「大丈夫、全部分かってるわ」伊夜は大義凛然とした様子で、彼女の肩を叩いた。「だって私は男女問わず魅了する、魅力無限だもの。説明しなくていいわよ!」

彼女はでたらめを言いながら、凛香をひどく怒らせた。

傍にいた石原山軒と杉本裕子も、笑いを抑えきれなかった。

「木村伊夜!あなたって本当に厚かましいわね!」凛香は憤慨して足を踏み鳴らした。「私の女神が誰か、あなたなんかに知る資格はないわ!」

凛香の目には、伊夜はただ彼女の女神になりすまそうとする狐狐婦にすぎなかった……

彼女が北村美晴と一緒に木村家の宴会に行ったら、司星の前でこのことをしっかり議論してやるつもりだった!

伊夜が芸能界に入ったら、どうやって生き残るか見ものだわ!

「演技を学ぶ者は、厚顔無恥でなければ食べていけないのよ」伊夜は少し困ったように手を広げた。「だから先生があなたを花瓶だと皮肉ったのね。この顔立ちを見ると……」

彼女は軽く舌打ちして、「花瓶に対する侮辱ね」

「あなた……」凛香は激怒して伊夜を睨みつけたが、一時的に侮辱の言葉が出てこず、言い返せなかった。

伊夜はすっかり興味を失い、天井を見上げた。

天よ……地よ……

いったいいつになったら、もう少し手強い敵を与えてくれるのだろう。無敵であることは、なんと寂しいことか!

「木村伊夜、覚えておきなさい!」凛香は手を振り払った。「どうせ私はすぐに女神に会えるけど、あなたみたいな庶民には、そんなチャンスはないでしょうね!」

川崎家もそれなりの財力と権力を持っていたが、木村家のような名門には到底及ばなかった。

もし美晴がいなければ、川崎家の令嬢である彼女でさえこのような栄誉に与れなかっただろう。まして伊夜なんて論外だ!

伊夜はうなずいた。「そうそう、その通り」

確かに、彼女は歌姫星夏の本当の姿を見ることは永遠にできない……結局、自分の全体像は見えないのだから。

せいぜい鏡の前に立って、この絶世の美貌を鑑賞するくらいだ。