皇芸新入生の健康診断

豪華なバスが高速道路を走っていた。

パフォーマンス科と声楽科がちょうど同じバスに割り当てられたため、木村伊夜と杉本裕子は隣同士に座っていた。

「皆さん、自分の健康診断表をしっかり持っていてください。終わったら病院の入り口で提出してください。私がそこで待っています」

担任が健康診断表を配りながら、さらに注意事項を伝えた。

伊夜は綴じられた表を開くと、心電図と胸部レントゲンという最も重要な検査項目がはっきりと目に入った……

彼女は紙をきつく握りしめた。「裕子……」

「どうしたの？」裕子は不思議そうに顔を横に向けて彼女を見た。「星夏、すごく緊張してるみたいだけど？」

伊夜はゆっくりと手を緩めた。

彼女は目を伏せ、健康診断表を平らに広げた。「何でもないよ」

裕子は半信半疑で頷いたが、移動中も時々彼女の様子をちらちらと窺っていた。

「星夏、もしかして採血が苦手なの？」

バスを降りる時、伊夜の緊張が和らいでいないのを見て、裕子は心配そうに慰めた。「大丈夫だよ、採血の時は私が目を隠してあげるから！」

採血恐怖症以外に……

彼女には伊夜がずっと緊張している他の理由が思い浮かばなかった。

伊夜は頷いた。「ありがとう、裕子」

二人の友達は一緒に健康診断を受け、採血の時、裕子は約束通り伊夜の目を手で覆った。

「いい子だね、大丈夫だよ」裕子はにこにこしながら彼女をなだめた。

伊夜は拒否せず、ただ目を閉じて、残りの二つの健康診断項目について考えていた。

すぐに採血は終わり、裕子は手を離して彼女が立ち上がるのを助けた。「ほら、大したことないでしょ！」

彼女は目を細めて笑い、その表情は三日月のように清らかで澄んでいた。

伊夜は軽く微笑んだ。「うん」

「行こう、まだ心電図とレントゲンが残ってるよ！」裕子は彼女の手を引いて、次の診察室へと急いだ。

伊夜は目を伏せ、まだ医師のサインがない二つの項目を見つめながら、心電図室の外でためらっていた。

医師が裕子の検査を終えた後、彼女を見上げて言った。「次の学生さん、どうぞ」

その声を聞いて、伊夜は顔を上げた。指先が冷たくなっていた。

裕子は検査室の外で靴を履き直しながら、彼女に向かって目配せした。「待ってるね」

伊夜はまぶたを少し伏せた。