もう三嫂と呼ばないよ!

木村伊夜がトイレから出た後、加藤吉平は彼女について行かなかったが、どこにいるのかも分からなかった。まあ、彼女にとってはどうでもいいことだった。

杉本裕子は花が枯れるほど長く待っていたので、すぐに彼女を引っ張って担任教員の前に行き、健康診断表と検査報告書を提出した。

「星夏、この後授業ないから、ショッピングに行かない?」裕子はしつこくせがんで、伊夜を少し困らせた。

「いいよ」伊夜は彼女の頭を撫でながら承諾するしかなかった。ちょうど季節の変わり目の服を買おうと思っていたところだった。

しかし、二人が病院を出たところで、猿のような人影が目の前に飛び出してきて、しきりに何かを言い続けた。

「お義姉さん、やっと捕まえたよ!」

石原山軒は両腕を広げて伊夜の前に立ちはだかった。「ここ数日、授業がきつくて、リハーサルか授業の繰り返しで、あなたと話す機会がなかったんだ。」

「お義姉さん?」裕子は不思議そうに伊夜を見た。

石原山軒は石原氏グループの唯一の後継者で、兄などいないはずだった。ましてや「お義姉さん」なんていうはずがない。

もし本当に言うなら...

安城四天王の中で、彼は確かに四番目だった。

裕子は気づいて、驚きと喜びで伊夜を見つめ、小さな唇を開いた。「星夏、あなたと若帝様が...」

「んっ...」

次の瞬間、彼女の唇は伊夜に手で覆われてしまった。

裕子は無邪気に大きな目をパチパチさせながら二人を見て、今知ったばかりの衝撃的なニュースを消化していた。

「石原小四、また懲らしめが必要なの?」

伊夜は口の軽い山軒をじっと見つめ、すぐに周囲を見回して誰も気づいていないことを確認してから、やっと安心した。

彼女はクラスメイトに自分と若帝の関係を知られたくなかった。

生活アシスタントであれ、それ以外の関係であれ。

山軒は身をすくめ、首を振り子のように左右に振った。「お義姉さん、前回みたいに懲らしめないでください。今回は義姉さんのために不平を言いに来たんです!」

伊夜は不思議そうに彼を見た。

彼女が尋ねる前に、山軒はペラペラと話し始めた。「まさか兄貴がこんなにひどい男だとは思わなかった!あなたがいるのに、他の女と噂を立てるなんて...」