「斎藤斗真、私は血痰を吐いた」

宵月司星は目尻を軽く上げた。

細長い鳳凰の瞳には妖艶な色気が漂い、どこか不敵で奔放な雰囲気を醸し出しながらも、深遠で魅惑的だった。

「星夏……」彼は突然口を開いた。低く沈んだ声音で、まるで甘く誘うかのように、魂を奪い取る力を持っているかのようだった。

木村伊夜は顔を上げて彼を見つめ、その深い情愛に満ちた瞳に吸い込まれた。

それは宵月司星だ……

彼女が心から慕い、二つの人生をかけて愛した男性。

司星の瞳の光が深まり、彼は彼女を見つめながら、まるで彼女を完全に自分の心の先端に引き寄せようとするかのようだった。伊夜はしばし我を忘れ、彼が本当に妖艶な存在だと感じた。

「な、何?」

伊夜は少し緊張して、両手を前で組み合わせ、自分の服をつまみながら、すぐに視線を逸らした。

妖艶すぎる、本当に妖艶すぎる……

もう少し見つめていたら、彼女は抑えきれずに飛びつきそうになるところだった。

「誘惑しないでよ」伊夜は小声で呟いた。

彼女は俯き、優雅なまつげが軽く二度震え、瞳の底に淡い影を落とした。

心臓が突然激しく鼓動し始めた。

まるで小鹿が胸の中で暴れているように、ときめきを感じた。

しかし、その鼓動はだんだん不規則になり、胸の中で暴れ回り、時には絡み合うように、まるでコントロールを失ったかのように。伊夜の瞳の色が少し暗くなった。

「そんなに緊張しなくていいよ。食べたりしないから」

司星は彼女の様子を見て、思わず笑みを漏らした。

彼は優雅に立ち上がり、ポケットに手を入れて、すでに用意していたプロポーズ用の指輪を取り出そうとした……

しかし思いがけず、伊夜が突然手を伸ばして彼を制した。

「ちょっと待って」彼女は眉をしかめ、息が少し荒くなっていた。

伊夜は突然立ち上がり、あまりにも急だったため、椅子が彼女の足によって数センチ後ろに弾かれた。

彼女は服の裾をきつく握りしめ、「あの……ごめん、先にトイレに行かなきゃ。戻ってくるから待っていて」と言った。

言葉が終わるや否や、伊夜は振り返って走り去った。

司星の動きが突然凍りついた。彼は眉を強く寄せ、慌てて逃げ去る少女を見つめ、瞳は暗く沈んだ。

彼女は、心の準備ができていないのか、それとも彼を受け入れたくないのか?