面白いことを見るのに事の大きさは気にしない

第二ラウンドの試合は徐々に終盤に差し掛かっていた。

後半の出場者たちも自分に合った曲を選んでいたが、北村美晴と杉本裕子のパフォーマンスと比べると、やや見劣りしていた。

「星夏先生、スタンバイの時間です」

ステージマネージャーが直々に審査員席に来て木村伊夜を促し、その後、敬意を持って丁寧に彼女を舞台袖へと案内した。

「星夏先生、こちらのアシスタントがいつ登場するかお知らせします」とステージマネージャーは念を押した。

伊夜はうなずき、「ええ、あなたはお仕事に戻ってください」と答えた。

アシスタントはその後、調整済みのマイクを伊夜に手渡し、一緒に出番を待った。

伊夜は退屈そうに舞台袖に立ち、最後の出場者を見つめながら、突然胸が苦しく頭がくらくらするのを感じた。

彼女は壁に寄りかかり、手を上げてこめかみをさすった。

「どうしたの?体調が悪いの?」杉山由夏は彼女の様子に気づき、眉をひそめた。

伊夜は何度か深呼吸をして、首を振った。

「大丈夫よ」彼女は目を伏せて眉間を押さえ、自分を落ち着かせようと努め、一時的に不快感を抑えた。

彼女はまだ持ちこたえられるはずだ。何も問題ないはずだ。

「最近疲れすぎてるんじゃない?」由夏はまだ心配そうだった。「私が調整して、この後の試合は辞退して、休みましょうか」

伊夜は断固として首を振った。「大丈夫、続けられるわ」

彼女が歌王コンテストの主審を務めているのは、第三ラウンドのために、杉本唯奈が私情を公務に持ち込まないようにするためだった。

彼女は裕子に約束したのだ。すべて任せてくれと。

由夏は少し諦めたように溜息をついた。「わかったわ。でも試合が終わったら、病院で検査を受けましょう」

芸能人の健康は常に重要だ。

結局、これは命を削る仕事だ。長期間の徹夜や忙しいスケジュールは病気を引き起こしやすいため、特に注意が必要だった。

伊夜は返事をせず、承諾も拒否もしなかった。

そのとき、舞台から司会者の声が聞こえてきた。「それでは、歌壇女王・星夏をお迎えしましょう!」

アシスタントが合図を出し、伊夜は微笑んだ。

彼女は手を上げて海藻のように柔らかい長い髪を整え、マイクを握り、ドレスの裾を少し持ち上げ、非常に優雅に舞台へと歩み出た。全身が光を放っているようだった。