第23章 昨日からそんな姿で会っていたの?!

棚木知恵がベッドに戻ったとき、頭の中ではまだ石丸英庭が言った言葉が響いていた。

彼女が石丸英庭と一緒に帰ったら、同じ部屋で寝るということ?

普通の夫婦なら、同じ部屋で寝るのは当たり前のことだ。

でも。

彼女と英庭は契約結婚なのに!

どうして同じ部屋で寝られるというの!

もし彼女がうっかり英庭の知られざる一面を見てしまって、彼を怒らせたら、結婚したまま命を落とすことになるじゃない!

知恵はベッドの上で何度も寝返りを打ち、夜が明けても一度も眠れなかった。

早朝。

知恵は浴室で悲鳴を上げた。

ドアは半開きで、ちょうど起きて出勤の準備をしていた英庭は音を聞いて、一瞬立ち止まり、最後に車椅子を操作して部屋に入った。

「どうしたの?」

知恵は人の声を聞いて、振り向いて一瞥した後、すぐに浴室のドアを閉め、腫れた顔を手で覆った。

「棚木さん?」

中から女性の悲痛な声が聞こえた。「昨日もこんな姿であなたに会ったの?」

顔が腫れて、ひどく見苦しい!

英庭は彼女が何を隠しているのか理解し、眉と目の間に笑みが浮かんだ。

彼はからかう気持ちになり、ゆっくりと言った。「昨日よりは少し腫れが引いたよ」

知恵:「!!?」

知恵は死にたい気分になった。

いや。

死ぬにしても、顔を治して、きれいな姿で死にたい……

「じゃあ昨日はどれだけひどく腫れていたの?」

「本当にそんなに醜かったの?」

彼女の声には哀れっぽい調子が混じっていた。

若い女の子なら、自分の外見に無関心な人はいない。知恵も例外ではなかった。

彼女は美しく、自分の美しさを決して隠そうとしなかった。

美しいものを好まない人はいない。

彼女は浴室のドアを開け、目だけを覗かせた。

霞がかかったような目は、本当に人の心を惹きつけた。

英庭は片手で拳を作り、唇に当てて咳をし、笑いを隠した。「先に出てきて薬を塗ったら?」

「あるの?」

「あるよ」

「じゃあ…マスクをもらえない?自分で薬を塗りたいんだけど」

英庭は微笑み、くつろいだ口調で言った。「昨夜は私が直接薬を塗ってあげたんだよ」

つまり、今日も例外ではないということだ。

言外の意味を理解した知恵:「……」

この人をからかうのが好きな性格は、仮面舞踏会で会ったあの男性を思い出させた。