棚木知恵は学校に通っていた時、家族から卒業プレゼントをもらったことがなかった。彼女は自分と義母の関係が家族と呼べるものなのかわからなかったが、帰宅後に中村月冴がくれるプレゼントをとても楽しみにしていた。
今日は家に人があまりおらず、知恵は月冴について庭の花や草の世話を続けた。彼女はたくさんの写真を撮った。花を撮り、草を撮り、人も撮った。
彼女は以前、フィルムカメラの設備一式を買っていて、撮影した写真の質感は非常に良かった。
知恵は写真の中で歳月に沈殿された美人を見て、思わずため息をついた。
残念ながら、その設備は全て棚木家にあるので、現像した写真はきっととても綺麗だっただろう。
でもこれでも悪くない。
知恵は写真を持って月冴に見せ、褒めた。「お義母さん、本当に写真映りがいいですね。何気なく撮っても素敵です」
顔の傷のせいで、月冴は長い間写真を撮っていなかった。今、知恵が撮った写真を見て、少し照れくさそうにした。「もう年だし、それに顔に傷もあるのに、写真に撮ってもそんなに綺麗なはずがないわ」
知恵はこの言葉を聞いて、月冴をじっと見つめ、義母の言葉から美しくない部分を探そうとした。
そして、知恵は笑い出した。「前に本で読んだんですけど、草木には全て魂があるそうです。花や草の世話をする人は心を養うためにそうするんです。草木と長く過ごすと、人も穏やかになるって」
「私はお義母さんの顔の傷も白芍薬の模様のように見えます。薄く、まるで描かれたようで」
月冴は知恵が自分を慰めようとしていることを知っていたが、本当に心が晴れやかになり、笑いを抑えられなかった。「あなたは理屈をこねるのが上手ね」
「歳月は美人を敗れさせません!」知恵はカメラを持ち上げ、再び義母のシャッターを押し、笑顔の瞬間を捉えた。「美しさは骨にあるのです」
知恵は非常に確信を持って自信たっぷりに言った。「私は年を取っても、老美人になると思います」
彼女のその生き生きとした様子に、月冴は笑わされた。顔の傷と事故が月冴の心に重くのしかかっていた憂鬱さが、少し軽くなったようだった。
「じゃあもっと撮りましょう。良いのを選んで、私の部屋に飾るわ」
月冴は自分勝手に楽しんでいる知恵を優しく見つめ、目の奥の柔らかさがますます明確になった。
知恵はすぐに承諾した。「いいですね!」