272章 北斜面鉱山

鉱山の奥深くへ進むほど、洞窟内部の環境はますます湿潤になる。

シルヴィーは頭上から落ちる水滴を敏感に避けつつ、たいまつを持って洞窟内をゆっくり進んでいた。真実の目は光がなくても暗闇で阻まれることはないが、彼女がこのように行動するのは魔力を節約するために過ぎない。

「分岐点に差し掛かったよ」と先頭を歩くナイチンゲールが立ち止まる。「これは何号の洞窟だっけ?

「二十三号で二つの出入口のうちの一つの分岐点」ライトニングが記録帳を取り出して一瞥した。

「ここが終わりであればいいのだが」とシルヴィーは魔力で形成した眼を見開いて呟いた。「左側は......鉱区から逸脱し、鉱物なし。右側は......同じだ」

ライトニングが結果を記録した、「では、この洞窟には最後の出口が一つだけ調査が必要だ」

「行こう」とナイチンゲールが再び先頭から後方に移動し、一同を元の通路に案内する。彼女の能力は隠形だけにとどまらないようで、シルヴィーは僅かにナイチンゲールの魔力の変化を感じるだけで、その姿や動きを捉えることができない。ライトニングの紹介によると、夜莺は共助会で最も強力な戦闘型の魔女だ。

おそらくこれがローランがシルヴィーを自分に従わせる理由なのだろう。この鉱山はかつて太古のモンスターの巣であったという噂があり、以前にも鉱夫の行方不明事件がいくつか発生していた。出発前に王子殿下は何度も注意し、慎重に行動するようにと念を押させ、明確な情報が得られない場合はまず鉱山を退くようにとも指示した。

シルヴィーはそれに対し疑問を持っていた。どんな怪物も魔眼の探査から逃れることはできず、岩壁の中に埋まっている動物の遺体や蠕動する軟体虫も含めて、彼女はすべてを見通すことができる。

「探検隊」は合計で4名で、彼女とナイチンゲール、ライトニングの他に、ルシアという名の少女もいた。彼女が鉱石を発見すると、それを各種類の破片に変換し、慎重に分類して袋に入れており、これを殿下に見せて判断を仰ぐと言っていた。

ライトニングは鉱山の地形図を描く責任を負っている。また彼女自身によれば、探検には彼女が必須だという。その自負げな態度に、シルヴィーは眠りの島に一時滞在していた船長を思い出した。