第291章 予告

グレイキャッスルの宮殿にて、ティファイコは杖を握り、得意げな顔をした首席錬金術師のリレイ.シェニスを見下ろしていた。

「逃げた波ールが持ち去った錬金術のレシピ、何か手がかりはあるか?」

「そうです、尊敬すべき陛下、これが錬金術協会が開発した最新のスノーパウダーです。どうか、私がデモンストレーションを行わせてください」とリレイは礼を述べた。

新王の承諾を得た彼は、後ろへ手を振り、すぐに二人の弟子が一つずつの皮のフラスコを持って現れた。彼は地面に2枚の白い紙を広げ、フラスコからスノーパウダーをこぼし、それを2本の薄い線にならべた。そのうちの一つは灰色をしていて、もう一つははるかに深く、灰色に近い黒だった。

「陛下、ご覧ください。この浅い色のものは、以前祝賀のために使用されていたスノーパウダーで、この濃い色のものは、新しく開発された速燃スノーパウダーです」リレイは火石を取り出し、紙上の粉末に火をつけた。浅色のスノーパウダーはゆっくりと燃焼し、立派な煙を上げた。一方、濃色のものは瞬時に全て燃え尽き、その過程で下に敷いてあった白い紙も焼き尽くした。

「これは何を意味するのか?」とティファイコは眉をひそめた。「愛する妹が手に入れたものは、ただ紙を燃やすだけのものではないぞ!」

「もちろんですとも、尊敬すべき陛下」リレイはひげをなでながら微笑んだ。「燃えるのが速ければ速いほど、短時間で大量の煙が放出され、それがこのスノーパウダーが非常に強力である理由です。次の実験でその点を証明させていただきます」

今度は拳ほどの大きさの羊皮紙包みが2つ、きちんと外側を包まれていた。弟子たちは包みから出ている細長いひもに火を点け、その上に銅の鉢を2つ被せた。火花がひもを伝って、ゆっくりと銅の鉢に向かって上っていった。

「陛下、この次の音は大きいかもしれません。耳を塞いでください」

首席錬金術師の言葉が終わると同時に、大きな「バン」という音が響き、一つの銅の鉢が底を上に向けて転がり、もう一つは宮殿の屋根まで吹き飛ばされてしまった。地面に落ちると、花崗岩の石板に何度か跳ね返り、響き渡る音を立てた。

くそっ!ティファイコは力を溜めてスタッフを握りしめ、ついつばを飲み込んでしまった。なんでそんなことをもっと早く言わなかったんだ!