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一週後、辺境の町は大雪の中で秋の最後の月を迎えた。

ローランがオフィスの窓から外を見ると、雪白い屋根を黒い影がスッと動いていた──これは町の人々が毎日必ず行う仕事、屋根の積雪を地面に落とす、屋根が押し潰されないようにするためのものだ。

今日までに、彼がこの世界に来てちょうど一年が経つ。ただし、一年前の秋は、これほど寒くなかったし、ここからこんなに多くの整然と密集した家を見ることもなかった。

当時、町は放棄された荒地であると言っても過言ではなかった。広場を囲むように少数の見かけどおりの木造の家があるだけで、その外側は、すべてがボロボロの泥の家や茅の家だった。貴族の住まいも広場周辺に集中しており、唯一の石板道はそこから城へと通じていた。それ以外の場所では、地面が平坦なところを一切見ることはできず、人間や動物の排泄物が随所に残っていた。

今では、ここにある道路はすべて水平な路面に置き換えられた。カバー層がなくても、それは品質が非常に優れた堅い道路だ。黒い線が銀白色の小さな町を大小様々な形に分割し、広々としたメインロードの両側には、今後予定されている商業地区があり、その周辺には住宅地区がある。

その他にも、辺境の町の産業も徐々に形をとり始め、言い換えると、ついに作業小屋から自己循環の生産ラインになった。もちろん、蒸気機関に限ってだけど。高炉部分では加工要件を満たす鉄の塊を生産することができ、蒸気工場ではそれを部品に加工することができる。鍛冶師たちは機械道具にもう慣れていて、同時に大勢の弟子を持つようになった。精密な蒸気エンジンベッドは全てアンナが作っているけれど、彼らにとっては大変な進歩と言える。だって、彼らは鍛冶師のハンマーをなぐっただけか、もしくは鉱夫や猟師だったんだから。

少なくとも、労働者たちが自らの力で生産したという見方をすればいい。

他にも弾丸と火薬の生産は、すべて普通人が任されている。銃器はまだアンナが直接手を下さなければならないが、それは加工する機械が不足しているからではなく、町の高炉が確定的な品質の鋼材を製錬できないからだ。これはすでにローランが次の段階で解決が必要な問題として指摘している。