投手の他に、守備側にはホームのキャッチャー、ファーストバース、二塁手、三塁手、ショートストップ、センター、レフト、ライトの八人の選手がいて、攻撃側の打者が打球を放つと、これらの守備側の選手がボールを捕球しなければならない。
打球を直接捕球することを「フライアウト」と呼び、打者はアウトとなる。地面に落ちた後に追いかけた場合は、状況に応じて誰に送球するか判断しなければならない。例えば、相手が塁間を二塁に向かって猛ダッシュしている場合、二塁手に送球して相手の進塁を阻止することができる。相手は戻れず、味方が一塁にいるため、戻れば二人になってしまい反則となる。二塁に行くこともできず、二塁手がボールを持って触れば即アウトとなる。これを「フォースアウト」と呼ぶ。または近くの味方選手に送球し、塁に向かおうとしている相手選手にタッチしてアウトにすることもできる。これを「タッチアウト」と呼ぶ。
もちろん、戦術は多岐にわたり、これらは基本的なものに過ぎないが、式島律が少し説明しただけで、陽子はおろか、北原秀次までも混乱し始めた——なるほど、この競技がアメリカと日本の一部の国でしか人気がないわけだ。これは複雑すぎる。
彼は自分なりに整理してみた。守備側の主な目的は、良い球を投げて相手に打たれないようにすること。たとえ打たれても味方が捕球できるようにすることだ。一方、攻撃側の目的はできるだけヒットを打つこと、ホームランならなおよい。
野球の試合は展開が遅い。北原秀次は、負けているチームの投手が頭を振り回して相手の動きを警戒し、盗塁を防ごうとしながら、ホームで構えるキャッチャーとサインを交わしているのを見ていた。どうやらキャッチャーが指示した球種に確信が持てないようで、なかなか決断できず、ベンチのスーパーバイザーに指示を仰ごうとする様子は、まるでこの一球を失敗すれば命取りになるかのような慎重な態度で、もどかしいほどだった。
しかし北原秀次にも理解できた。一年間努力してきたのだから、誰もが良い成績を収めたいし、国中の注目を集めて名声を得たいと思うはずだ——負ければ一回戦で敗退となり、8月の甲子園への道は絶たれ、一年の努力が水の泡となってしまう。
競争の激しさは一目瞭然で、試合に臨む者が求めるのは勝利だけであり、勝者の努力のみが価値を持つのだ。