この後もう一度も野球をする気がなくなるかもしれません。
元々の計画は試合が終わった後に地元で遊んで、名物味噌汤を試す予定だった。だけど、内田雄馬がこんな状態になったから、誰もそれを提案しなかった。
みんなはチームのバスで直接名古屋に戻り、車から降りて同時に解散した。式島律は北原秀次に申し訳なさそうな視線を送り、内田雄馬と一緒に帰った。内田雄馬を直接家に送り届けるつもりだったようだ。雄馬の心の状態がとても悪く、自信が打ち砕かれ、人生について疑い始めていた。
彼らを見送った後、北原秀次は雪里に言った。「勉強するために一緒に帰るか、それとも……」
雪里はすぐに彼の言葉を遮り、ため息をついた。「今日は気分が良くないから、秀次、勉強はやめましょう!ああ、あんなに大敗するなら見に行かなければ良かった、お姉さんの言う通り、私たちの学校には根底が無い、ボールゲームクラブは全て弱い、全国大会に参加するなんてまさに死を求める……私は直接帰ります。」
彼女は北原秀次が彼女をアパートで問題集を解かせようとするのを恐れ、手を振って急いで逃げた。
北原秀次は彼女を気に留めず、明日の課題を彼女に補わせるつもりでいる。今日は半休みを取ってもらおう。彼女はこの間、優等生たちに勉強を教えられて、きっと大変だったから。
彼は陽子を駅まで連れて行き、謝罪の言葉を述べながら言った。「ごめん、陽子、君に一日の大半を無駄にさせてしまったんだ。」今日の試合を見る意味が全くなかったから。時間が戻れるなら、たぶん内田雄馬は彼と式島律に膝をついて行かないように頼んでいたことだろう。
学校に戻ったら、私立大福学園地区大会一回戦でまさかの完敗、珍しい20:0の記録が学校新聞に載るかもしれない、全校の恥をさらし、サッカー部を置き換えて新たに一週間の笑い者になるだろう。
陽子はそれを否定しながらも、笑顔で言った。「そんなことないよ、お兄さん。今日はたくさん新しいものを見て、とても面白かったんだから」。彼女は言葉を選び、さらに慰めた。「お兄さんの学校が負けたからって、あまり落ち込まないで。次に勝てばいいんだから」。
北原秀次は笑って言った。「僕は悲しんでなんかないよ。ただ、彼らを見て思ったんだ。どんな試合でも、やっぱり勝つ方がいいよね」。