172章 私を食事に誘ってもいい?_2

鈴木希は素直に頷き、周りを見渡してから携帯電話を取り出し、電話をかけて何かを楽しそうに伝えた後、北原秀次に向かって言った。「10分以内に誰かが来るわよ」。

「今夜のことは誰にも話さないで、私に出会ったこともなかったことにしてくれる?」北原秀次は不安そうに再度確認した。

鈴木希は即座に約束をし、北原秀次に向かって少し恥ずかしそうにウインクをした。「分かったわ、これは私たち二人だけの秘密ね」。

冬美は全く気にせず、「ふん」と言って妹たちに手を振った。「私たち行くわよ!」

この恥知らずの臭いおなら精霊、もし病魔に取り憑かれていなかったら、とっくに顎に一発飛ばしてたわ。

冬美は恥ずかしさも恐怖心もあって鈴木希を殴ることができず、鈴木希自体が倒れそうな印象を与えていた。もし鈴木希が一発喰らったら、そのまま遺骨化する可能性もある。

そんな人間を殴るのは体面が悪いし危険すぎる、腹立たしい。

彼女は鈴木希を無視して、妹たちを先に連れて通りを歩き始めた。彼女たちはこの狭い道を行ったり来たりして、今はお店がすぐそこまで近づいていた。一方、鈴木希は少し期待して北原秀次に「北原君、私と一緒にここで待ってくれる?私、ちょっと怖いの…」と尋ねた。

北原秀次は彼女に向かって微笑み、「それなら胆力鍛錬だと思おう」と言った。この小娘がナイフで襲いかかろうとしているのにまだ笑っていられるなんて、彼女が本当に怖がっているわけがない。

彼も道を歩き始め、鈴木希は後ろで手を振りながらにっこりとさよならを言い、北原秀次が彼女の姿を見失うまで振り続けた。その後、彼女は街灯の柱に寄りかかり、小さな薬瓶から薬を一つ取り出して飲み、にっこりと両側の道を見た。確かに、あまりにも心配なさそうに見えた。

北原秀次が通りの角を曲がると、冬美が妹たちと一緒に待っていた。彼は立ち止まり、携帯電話を取り出して陽子(ようこ)に電話をかけた。電話の向こう側で、陽子はすでに焦りまくりだった。冬美の携帯電話も通じなくなり、一体何が起こったのか分からなかった。ただ一つ連絡がついてやっとほっとした。北原秀次は彼女を優しく励まし、すぐに家に帰ると言い、彼女が先に寝るように言った。