第225話 自分はなぜこんなに役立たずなの？

北原秀次は本を静かに閉じ、鈴木希を見上げた。鈴木希は正座をして、私立大福学園の夏季制服を着ていた。赤いミニスカートが畳を覆い、足と脚には黒い靴下を履いていた。上着の白いシャツの襟元には長い赤黒のリボンが結ばれ、肩は細くて柔らかく、細長い瞳には笑みが溢れ、顔には得意げな笑顔が浮かんでいた。まるで鶏を盗むのに成功した小狐のようだった。

北原秀次は上から下まで暫く見つめ、微笑んで言った。「要求を言ってください。」

相手の意図を読めたかどうか、罠を仕掛けられたかどうかに関わらず、負けは負けだ。それくらいの度量は持ち合わせている——もちろん、後で必ず仕返しをする。百パーセント借りを返す。

鈴木希は瞬きをして、少し残念そうだった。北原秀次が負けを認めないときの言い訳に対する反論を沢山用意していたのに、北原秀次があっさりと認めてしまった——彼女は少し不満を感じ、北原秀次があまり気にしていないように見えた。これで勝利の満足感は一段階下がってしまった。

彼女は怒り狂う北原秀次を見たかったのに、このように冷静な態度を見せられては困る。

彼女は北原秀次が全然協力的でないと感じ、心の中で不快に思いながら、考え込むふりをして言った。「じゃあ、言いますよ...法律に違反せず、人間性の道徳に反せず、人身の安全に関わらない要求を、よく考えないと。」

彼女はしばらく芝居がかった態度を取っていたが、北原秀次が向かい側で足を組んで座り、ただ自分を見つめているだけで、全く焦りの色を見せないことに気付き、再び笑顔を見せた。「秀次、そこに座ってるだけじゃなくて、今私を褒めてくれたら、簡単な要求にしてあげるけど、どう？」

北原秀次は首を振り、微笑んで言った。「結構です。直接要求を言ってください。」

彼は鈴木希が何を聞きたがっているのかわかっていたが、あえて言わなかった——お前は薪みたいな女だ、胸も尻もないのは事実だ。一度言ったことを撤回して自分の顔を打つなんて考えるな。

鈴木希は少し鼻にしわを寄せた。なんて頑固な奴だ！北原秀次に褒め言葉を引き出そうとしたが失敗し、直接試すように言った。「じゃあ、私と付き合って...」