鈴木希は人工呼吸器を取り出して口に入れ、呼吸器を頼りに自発的な呼吸運動を補助し、肺内に十分なガス交換ができるようにして、興奮した気持ちを無理やり落ち着かせた。
さっきの球速は絶対160を超えていた。そして、あいつの投球フォームが良くない。体が固すぎて、無駄な筋肉のエネルギー消費が多すぎる。もし専門的なトレーニングを受ければ、彼の球速は170に挑戦できるかもしれない!
世界記録でさえ177しかないのに、このガキはまだ成年にも達していないんだ!
同年代と比べると...鈴木希は以前見た甲子園データを慎重に思い出した。歴代の甲子園優勝投手の平均球速は145くらいで、高いのは150以上、低いのは137、138くらい—それは技巧派で、球速で勝負しないタイプだ。
場内が呆然とする中、内田雄馬が一番先に反応して、立ち上がって叫んだ。「ボールは!?」
彼はボールを捕れなかっただけでなく、体に当たってどこかへ跳ね飛んでしまった。これは試合中ではキャッチャーの最も重大なミスの一つとされる。
ピッチャーがボールを飛ばしてしまう、例えば高すぎたり、低すぎたり、または外れすぎてキャッチャーが捕球できなかった場合、これはワイドと呼ばれる。もし相手にその隙を突かれて得点されれば、ピッチャーの自責点となり、キャッチャーには関係ない。しかし、ピッチャーがストライクゾーンに投げ込んだのに、キャッチャーが捕れなかった場合、それはピッチャーの責任ではなく、キャッチャーの責任となり、これはパッシュボールと呼ばれる。
野球は最も複雑なルールを持つスポーツの一つと言われているが、核心的なルールはとても単純だ—それはボールのコントロール権で、その二つの核心要素である「得点」と「アウト」は、どちらもボールのコントロールと切り離せない。
攻撃側が必死にボールを打つのは、ボールを守備側の支配から離そうとするためで、守備側は最良の場合、攻撃側に打たせず、ボールをスムーズにキャッチャーの手元に戻し、それを三回連続で成功させれば、打者を「ストライクアウト」にできる。
もし打たれた場合は、他の守備選手がボールを捕って直接「アウト」を取るか、捕れない場合はすぐにボールを拾い集めて、フィールド上で持つべき味方の手元に素早く送らなければならない。